誘発脳磁界計測のための軽量高性能磁気シールドの開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12355018
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 笹田 一郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (20117120)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 園田 敏勝 近畿大学, 九州工学部, 助教授 (40107842) ; 吉富 邦明 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (30150501) ; 林 則行 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (30156450) ; 風見 邦夫 横河電機, 航空宇宙特機事業部MEGセンタ, 係長(研究職)
• Keywords: 磁気シールド / 磁気シェイキング / 脳磁界 / SQUID磁束計 / アモルファス磁性体 / 環境磁界 / アクテイブ磁界補償 / 生体磁気

Research Abstract

本年度は、磁気シェィキシグを適用した両端開口円筒型磁気シールド内で、脳磁界計測が可能であることを実証することに主眼を置いた。このためにSQUID磁束計の動作を不安定にする無線通信帯のrf雑音を除去するための簡易rfシールドを導電性不織布で製作し、研究分担者(吉富)が開発していたミニアチュアアンテナで磁気シールド内rf雑音を評価した。この結果、10dB以上の遮蔽効果がありSQUIDのφ-V特性が簡易rfシールドでほぼ完全に回復した。この準備の後、23才の男性健常者を被検者として、アルファ波脳磁界の計測に成功した。この結果は2002年米国物理学会とIEEE Magnetic Society共催のMagnetism and Magnetic Materials会議で報告する共に、J.Appl.Phys.に掲載が決定している。また、上記研究の過程で円筒の両開口端から円筒軸方向に侵入する磁界を能動的にキャンセルする実用的な方法を、fecd-forward制御方式で構築し、2-50Hz帯で数十倍という大きな効果があることを実証している(電気学会投稿中)。さらに、総合的な磁気シールド法の観点から、磁気シールドをシールド・モジュールの組み合わせで高性能化するコンセプトを提案し、建物の壁に設置できる平面構造を持った磁気ダイポールアレイによる能動的磁界キャンセル法を電気学会2002全国大会で発表し、国有特許として出願した。高安定・高感度磁界センサがこのモジュールの主構成要素であるが、センサの動作機構の中に安定化構造が組み込まれた直交フラックスゲートを独自に開発した。また、低周波環境磁界は生体磁気計測に限らずナノテクに欠かせない電子線描画装置にも大敵であり、永久磁石を組み込んだシリコンウエハ搬送装置の製品出荷検査に、一連の研究過程で開発していた中型シールド(内径50cm、長さ120cm)を企業に半年貸し出したことを研究成果の社会貢献の一つとして付記しておきたい。

Research Products

• [Publications] K.Tashiro, K.Nagashima, A.Sumida, T.Fukunaga, I.Sasada: "Spontaneous magnetoencephalography alpha rhythm measurement in a cylindrical magnetic shield employing magnetic shaking"Journal of Applied Physics. Vol.93, No.10(in print). (2003)
• [Publications] 田代晋久, 笹田一郎, 吉富邦明, 風見邦夫: "小型アンテナによる磁気シールド内のRFノイズ測定-dc-SQUIDセンサに与える影響-"日本応用磁気学会誌. 26巻4号. 535-538 (2002)
• [Publications] I.Sasada: "Orthogonal fluxgate mechanism operated with dc biased excitation"Journal of Applied Physics. Vol.91, No.10. 7789-7791 (2002)
• [Publications] E.Paperno, I.Sasada, K.Tashiro: "Experimental correction of the axial shielding equation"IEEE. Trans. on Magnetics. Vol.38, No.5. 3324-3326 (2002)
• [Publications] K.Nagashima, I.Sasada, K.Tashiro: "High-performance bench-top cylindrical magnetic shield with magnetic shaking enhancement"IEEE. Trans. on Magnetics. Vol.38, No.5. 3335-3337 (2002)
• [Publications] I.Sasada: "Symmetric Response Obtained With an Orthogonal Fluxgate Operating in Fundamental Mode"IEEE. Trans. on Magnetics. Vol.38, No.5. 3377-3379 (2002)