2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12356002
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 岩手大学, 農学部, 教授 (20003791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正和 岩手大学, 教育学部, 教授 (70111234)
矢後 素子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30048475)
吾郷 昌信 丸石製薬(株), 中央研究所, 主席
奥西 淳二 丸石製薬(株), 中央研究所, 研究員
瓜田 章二 福島農業試験場, 梁川支場, 専門研究員
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Keywords | カイコ / 天蚕 / ウスタビガ / 抗カビ性物質 / 雌附属腺 / 抗ガン性物質 / 繭新規成分 / 新規フラボノイド |
Research Abstract |
天蚕の雌附属腺から単離同定したラット肝がん細胞増殖抑制因子は,生物界でまったく新規のカテコールアミン類似体であることを最終的に決定することができた。これは,本科学研究補助金による最大の成果であり,現在合成品を得るために5段階のステップで合成系を解析中である。 一方,同じヤママユ科のウスタビガ雌附属腺についても,同様の活性があることから,単離同定を進めた結果,L-ドーパであることを明らかにすることができた。このL-ドーパと新規カテコールアミン類似体の存在は,従来知られている昆虫雌附属腺における生理機構に新しい解釈を提案するものであり,基礎的にも応用的にも重要な知見を得ることができた。 天蚕繭については,天蚕フィブロイン粉末からのリンゴ斑点落葉カビに対して強い抗カビ活性を有する画分がN関連化合物の低分子であることを明らかにすることができた。また,ウスタビガ繭については,逐次抽出法によりラット肝がん細胞ならびにマウス脾臓リンパ細胞を用いて生物検定した結果,70%アセトン画分が肝がん細胞増殖抑制機能と免疫賦活性機能の二つの特異的活性を有していた。さらに,ウスタビガ繭のエタノール抽出物からβ-カロテンを同定することができた。 以上のように,天蚕とウスタビガにおける雌附属腺ならびに繭には,新規の生理活性物質が含まれており,これらの物質を利用することで昆虫バイオセラピーの確立が期待できる。
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