2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNA塩基配列を正確に認識する新しい抗がん剤の創成
Project/Area Number |
12358011
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉山 弘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50183843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 順範 協和発酵, 東京研究所, 主任研究員
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Keywords | 抗がん剤 / ピロールイミダゾールポリアミド / DNA塩基配列 |
Research Abstract |
我々は抗生物質デュオカルマイシンがディスタマイシンなどの他種分子とヘテロダイマーを形成し協同的にDNAの分子認識を行ない、デュオカルマイシン単独の場合とは異なる塩基配列を効率よく共有結合することを発見した。この知見に基づき天然物のアルキル化部分にピロールイミダゾールポリアミドを結合させて、DNAの任意の塩素配列で反応する分子の合成に成功した。そこで、本研究ではコンビナトリアルケミストリーを用いて、DNA認識部位としてピロールイミダゾールポリアミドを結合させ、制癌活性や細胞周期を調節する新しいタイプのアルキル化剤の化学合成を目的とした。今年度の研究により、配列特異的なインターストランドクロスリンカーの開発にも世界に先駆けて成功した。さらに高い塩基配列認識能と高い反応性を有するヘアピン型ピロールイミダゾールの分子設計の改良にも成功した。またヒト培養がん細胞を用いたスクリーニングパネルによる検討により、天然物をはるかに超える非常に強い活性を示すものが数多く合成できることが示された。さらに興味深いことにアルキル化の配列特異性の違いにより、それぞれのヒト培養がん細胞に対する抗がん活性(スクリーニングパネル)に顕著な違いが見られ、低い相関係数を与えた。これらの結果は分子構造が似ていても、アルキル化の塩基配列特異性が抗がん活性に相関している可能性があることを示す結果であり、テーラーメード抗がん剤の設計という点で、興味深い結果である。また固相合成した長鎖ポリアミドについて細胞膜や核膜の透過性も確認されたので、今後は特定の遺伝子を標的とする遺伝子発現制御分子の合成が可能になった。配列レベルでの分子標的をコンビナトリアル的に探索するためには、今後は特定のがん細胞に選択毒性を示すものを効率よく選び出すスクリーニング法を開発する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Bando, T., Iida, H., Saito, I., Sugiyama, H.: "Sequence-specific DNA Interstrand cross-linking by imidazole-pyrrole CPI conjugate"J. Am. Chem. Soc.. 123. 5158-5159 (2001)
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[Publications] Baraldi, G. Balbone, G. Pabani, M. G. Spalluto, G. Clercq, E. Baizarini, J. Bando, T.Sugiyama, H.Romagnoli, R.: "Design, Synthesis, DNA Binding and Biological Evaluation of Water-Soluble Hybrid Molecules Containing Two Pyrazole Analogues of the Alkylating Cyclopropylpyrroloindole (CPI) Subunit of the Antitumor Agent CC-1065 and Polypyrrole Minor Groove Binders"J. Med. Chem.. 44. 2536-2543 (2001)
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[Publications] Tsuyoshi Fujiwara, Michiko Kimoto, Hiroshi Suglyama, Ichiro Hirao, Shigeyuki Yakoyama: "Synthesis of 6-(2-Thienyl)purine Nucleoside Derivatives That Form Unnatural Base Pairs with Pyridin-2-one Nucleosides"Bioorg. Med. Chem. Lett. 11. 2221-2223 (2001)
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[Publications] Takanori Oyoshi, Andrew H.-J. Wang, Hiroshi Sugiyama: "Photoreactivity of 5-iodouracil-Containing DNA-Ssold Complex in Solution: The Protein-indicated DNA Kinik Causes lnterstrand Hydrogen Abstraction from the 5-Methyl of Thymine at the 5' Side."J. Am. Chem. Soc.. 124(in press). (2002)
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[Publications] 杉山弘: "遺伝子認識化合物「生命化学のニューセントラルドグマ」"化学同人. 35-43 (2002)