2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラピタ人からポリネシア人への変容過程を探る先史学的研究
Project/Area Number |
12371010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 一道 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70097921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
口蔵 幸雄 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10153298)
徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40163977)
上原 真人 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70132743)
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定資料センター, 助手 (30293690)
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Keywords | ポリネシア / トンガ王国 / サモア / 生態人類学 / 生体計測 / 先史遺跡 / HLAハプロタイプ / ラピタ人 |
Research Abstract |
今年度から研究計画を実質化していくべく、各種の調査活動を開始した。まず片山、口蔵、須田は研究協力者の権田とともに、トンガ王国のハアパイ・グループで生体人類学と生態人類学に関係する現地調査を実施した。片山らはパンガイ島住民約300名の体格、足部、手部の計測データを収集できた。ことに足部と手部に関するデータ収集活動はポリネシア人については初めてであり、今後の詳細な分析が待たれる。すでに一部について分析が進められ、当初の予想どおり、ポリネシア人の四肢の末端部が特異的に大きい事実が判明しつつある。かつて片山が提唱した「ポリネシア人過成長仮説」、つまり他の人びとより過剰に成長することに彼らの体形のユニークさが起因するとする仮説を支持する有力な証拠となるかもしれぬ。口蔵と須田はカウアイ島で参加型調査に当たり、伝統的漁労活動を復元するためのデータ類を収集した。まだ定量的に分析するにはいたらぬが、次年度、次次年度と同様な調査を継続することにより、これまでの大きな課題であった最初期ポリネシア人の海人的な性格を解明するのに有望な道が拓けてきたと言えよう。徳永は研究分担者の大橋とともにトンガ政府保健省の協力のもとでトンガタプ島住民約100人分の血液サンプルを採取した。次年度も血液採取調査を続行する予定であるが、HLAハプロタイプを解析することにより、これまでにもまして非混血ポリネシア人の人類学的系譜関係を詳細にする目途がたったのは間違いない。上原らは研究協力者の石村を中心にしてサモアのサワイイとマノノの両島で考古遺跡の分布調査を実施した。サモアにも有望なラピタ遺跡が残っていることが確認できた。ラピタ遺跡の発掘調査は、さまざまな許可条件の問題から次年度にサモアで実施する予定である。小田はトンガの数カ所の遺跡で集めたサンプルを分析して、ラピタ期から王国形成前後期の年代測定値を求めることができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 片山 一道: "The Japanese as An Asia-Pacific Population"Multicultural Japan. 19-30 (2001)
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[Publications] 片山 一道: "ポリネシア人とラグビー"現代スポーツ評論. 4. 18-31 (2001)
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[Publications] 徳永 勝士: "Diversity of HLA among Taiwan's Indigenous tribes and the Ivatans"Tissue Antigens. 58(1). 9-18 (2001)
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[Publications] 口蔵 幸雄: "人間行動生態学(2):時間配分"岐阜大学地域科学部研究報告. 8. 67-173 (2001)
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[Publications] 片山 一道: "南太平洋の海洋をゆく:その3"South Pacific. 250. 1-14 (2002)
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[Publications] 石村 智: "Analysis of the Transformation of Lapita Designs"People and Culture in Oceania. 18(in press). (2002)
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[Publications] 片山 一道: "海のモンゴロイド:ポリネシア人の祖先をもとめて"吉川弘文館. 216 (2002)