2000 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀フランスにおける挿し絵本と絵画の関係についての総合的研究
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12410020
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 三郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (00130477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新畑 泰秀 横浜美術館, 学芸員
栗田 秀法 愛知県美術館, 学芸員
小野崎 康裕 川村短期大学, 英文科, 教授 (30194608)
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Keywords | プッサン / イエズス会 / エンブレム / 聖書 / オウィディウス / 挿し絵本 / 寓意 / フランス国立図書館版画室 |
Research Abstract |
本年度は、フランス国立図書館で、1600年代前半の挿し絵本、並びに、版画資料室で、同時代のオリジナル版画の調査を行った。一方で、フランス北部の町、ドーエー市立図書館で、イエズス会がこの時期に刊行した布教用図書の調査を行った。また、ローマでは、こうした挿し絵本を基本にして制作された宗教画の展覧会「隠された神」(フランス・アカデミー)の実見をした。(木村) フランス国立図書館にて、1500年代の「エンブレム・ブック」(すなわち寓意的な挿し絵本の一種)及び関連資料を調査し、特にニコラ=プッサンの作品に繋がる見通しを得た。同時に、挿し絵本との繋がりが強く見込まれる作品を対象に、現在の画面と成立当時の画面が同一か否かという点に関し、ルーヴル美術館資料室や国立文書館において調査を開始した。(小野崎) 本年度は主としてフランス国立図書館において、16-17世紀に刊行された聖書の挿し絵本の調査を行なった。聖書の挿し絵本には二種類あり、聖書の完全なテキストの冒頭或いは文中に挿し絵が挿入されたものと、一定の基準により選ばれた場面の挿し絵(数十から200余り)に対し、聖書の抜粋或いは物語的な要約や註解が付された、いわば絵本というべきものとが存するが、特に後者を集中的に実見、調査し、、次年度の個別調査のために概要を掴むことができた。(栗田) 本年度はニコラ=プッサンのローマ時代初期、特に1630年代の神話画の個別研究、すなわちカッセル市立美術館で《ニンフを担うサテュロス》を、ハノーヴァー市立美術館で《詩人の霊感》を実見し、資料調査を行なった。それと同時にフランス国立図書館稀観書室などで、15世紀から17世紀に出版されたオヴィディウス挿し絵本を調査し、絵画と比較するためのデータベース構築を開始した。(新畑)
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 木村三郎: "フランス・シュブレ=ド=ノウイエとイエズス会"日本大学芸術学部紀要. 第32号. 107-117 (2000)
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[Publications] 木村三郎: "十六世紀末から十七世紀前半において、フランスに紹介された日本"日本大学芸術学部紀要. 第33号. 1-14 (2001)
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[Publications] 小野崎康裕: "ニコラ=プッサンの《「時」と「真実」》(ルーヴル武術館所蔵)-作品に関する史的事項の再検討(1)-"川村短期大学研究紀要. 第21号(初校完了). (2001)
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[Publications] 栗田秀法: "原典資料紹介:王立絵画彫刻アカデミーの会規集"愛知県美術館研究紀要. 第7号(初校完了). (2001)
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[Publications] 新畑泰秀: "「プッサンとラファエッロ-借用と創造の秘密-」展(展覧会評)"西洋美術研究. 第3号. 190-195 (2000)