2002 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連脳電位を指標とした,発達障害児における認知機能の診断・評価法の確立
Project/Area Number |
12410032
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片山 順一 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (80211845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸冨 隆 作新学院大学, 人間文化学部, 教授 (60003951)
室橋 春光 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00182147)
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Keywords | 発達障害 / ADHD / 事象関連脳電位 / ERP / 認知機能評価 / 視覚選択的注意 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非侵襲的に脳の認知機能を評価可能な事象関連脳電位(ERP)を指標として,発達障害児の認知機能を客観的に評価する方法を確立することである. 一昨年度の研究から,注意欠陥多動性障害(ADHD)を持つ児は,視覚ポップアウト刺激に対するトップダウン的な注意資源の配分に困難がある可能性が示された.咋年度,ADHD児のトップダウン注意の特性を検討するため,線画の意味カテゴリ×色の多次元選択課題(標的は特定の色の動物)を行った結果,ADHD児は意味カテゴリと色の処理を順序だてて行えない可能性が示唆された.意味カテゴリ処理は多様な形態弁別の後に意味判断が必要となるが,ADHD児における処理の困難さが形態弁別にあるのか意味判断にあるのかは明らかでない.そこで本研究では,より低次な処理である単純な形(○と□)×色(赤と青)の多次元選択課題(標的は特定の色と形の組み合わせ)遂行時のERPを記録した. その結果,健常大学生では,色注意効果は形注意効果に先行し,かつ,形注意効果は色関連時にのみ見られたことから,色,形の順で階層的に処理していることが示唆された.本研究では対照健常児も大学生と同様の結果を示し,線画を用いた場合とは異なり,単純な形態弁別では子どももおとなと同様の処理方略をとることが示された.ADHD児は,健常大学生および対照児と同様,色,形の順で階層的に処理していることが示唆され,本研究のような単純な形態弁別を要する低次な処理に関しては順序だてた処理を行うことが可能であると考えられる.しかし,色に対する注意効果が対照児よりも遅れたことから,単純な刺激属性の選択過程にも問題があることが示された. これらの結果から,ERPを用いることによって,発達障害児の認知機能を評価することが可能であることが示された.
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Research Products
(2 results)