2000 Fiscal Year Annual Research Report
臨床場面における描画法の理論的・実証的研究-画像データベース・システムの「視点探索ツール」開発とその発展的利用を通じて-
Project/Area Number |
12410034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
皆藤 章 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70204310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 真理子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (30324594)
山中 康裕 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30080162)
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Keywords | 描画法 / 画像データベース・システム / 視点探索ツール / キーワード検索 / バウムテスト / 幹先端処理 / 風景構成法 / 心身症 |
Research Abstract |
まず、視点探索ツールの開発にむけた試みとして、データベース上に新たに、"コメント"欄を設け、各臨床素材について、それを眺めた臨床家の視点を残し蓄積していくことができるようデータベース・システムを改変した。さらに、データベース上に蓄積されている数百枚に及ぶ画像データを、心理臨床家数名により一枚ずつ丹念に見る場を継続的に設け、その場で起こったディシカッションの内容(その絵を見た者の気づきや感想、また、解釈の視点に関しての連想など)を"コメント"欄に書き込んでいった。これらのコメントを蓄積してくことは、他の臨床家が後から参照できる点で有意義であると同時に、キーワード検索が可能であり、今後、研究のための視点を発掘する土壌となると思われる。視点探索ツールについては、来年度以降、さらにどのような形が望ましいか検討を重ねていく。 また、視点探索ツールを用いたバウムテストの研究を行なった。バウムテストの描画をデータベース上で蓄積していく重要な分類指標として、「幹先端処理」を設けているが、指標化作業を続ける内に、あいまいで分類困難な点が見出されてきた。そこで、視点探索ツールを用い、幹の先端に注目してデータベース上に蓄積された描画をもとに、臨床上有用な新たな視点を探索することとなった。まず我々は、枝の分かれ方の違いによる(臨床家側の抱く)印象の変化に注目し、枝の分かれ方を「分化」と名づけた。また「分化」の機能を幹先端の「開放」を解消・処理する機能として定義し、特に力動的な見地から「根からたどるエネルギーの処理・分配の仕方」と定義しながら「分化」という視点自体を精錬させていった。それらの成果については、来年度の心理臨床学会において発表予定である。 来年度は、風景構成法について同様に研究を深めるとともに、心身症圏、内科疾患領域の調査を行なっていく中でさらに視点を多様化・深化することを目指したい。
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