2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 彰 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90207960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 丈晃 日本学術振興会, 特別研究員
徳川 直人 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10227572)
佐久間 政広 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (30187075)
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Keywords | 地域ケア / 地域社会 / 社会的ケア / 在宅ケア / 施設ケア / 介護保険 / 基礎自治体 / 市町村合併 |
Research Abstract |
本年度の現地調査により、下記の点が明らかになった。地域ケア・システムは基礎自治体の特色ある取り組みをつうじて構築されてきた。しかし、今日の市町村合併をめぐる動きは、その行方に微妙な影響を与えている。1.たとえば、長野県茅野市においては、市域を4分割し、それぞれ1万人程度のブロックを構成して、その範域内で医療・福祉・保健の総合化を推進してきた。また市民参加を積極的に推進し、社会福祉計画を市民主導の委員会に委ねてきた。NPOが宅老所を開設するなど、市民も主体的に地域ケアのシステム化に関与してきた。だが、諏訪圏域の6市町村には合併の動きがあり、この合併が実現したときに、茅野市独自のシステムが維持されうるかどうかについては、現時点では不明確である。2.長野県下伊那郡泰阜村においては、村の診療所、社会福祉協議会(訪問介護、デイサービスなど)を中心に、高齢者が最期まで家で暮らせる体制を作りあげてきた。高齢者が「家で死ぬ」ことを可能とするために、訪問介護の体制を充実させるとともに、在宅系サービスの量が介護保険の限度額を超過してもその分は村費の負担とするなど、独自の施策を次々と実現してきた。だが今日の合併論議は、泰阜村のような小規模自治体に照準を定め、広域合併を推進している。泰阜村は、村の生き残りを賭けて、合併にはあくまでも応じない方針を打ち出している。しかし、今日の状況のもとでは、この方針を貫徹できるかどうかは明らかでない。かりに下伊那地域が広域合併し、そのなかに泰阜村も組み込まれることとなれば、現状の地域ケア・システムは維持不可能となる。3.長野県北佐久郡北御牧村は、ケアポートみまきを中心に、在宅ケアと施設ケアの体制を作りあげてきた。北御牧村は、平成16年3月に小県郡東部町と合併する。2町村だけの合併であり、現在のケア・システムが当面は維持されうるが、将来的には不透明である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 永井彰: "高齢者の地域ケアをめぐる今日的問題状況"文化. 66巻1・2号. 95-108 (2002)
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[Publications] 永井彰: "ユニットケアをめぐる問題状況"東北大学文学研究科研究年報. 52号. (2003)
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[Publications] 永井彰: "農山村地域における地域ケア・システムの再編成-長野県・佐久総合病院の事例-"東北文化研究室紀要. 44集. (2003)