2002 Fiscal Year Annual Research Report
在日ブラジル人子女の教育・進路選択の多様化と教育支援に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
12410070
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
結城 恵 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50282405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 亘孝 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第一室長
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50206629)
越智 康詞 信州大学, 教育学部, 助教授 (80242105)
中村 高康 群馬大学, 教育学部, 助教授 (30291321)
本多 正人 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 研究員 (90282623)
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Keywords | ニューカマー / 在日ブラジル児童生徒 / 進路選択 / 地域間比較 / 多文化共生 / フィールドワーク / 外国人児童生徒の教育 / 外国人集住地域 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1990年の出入国管理および難民認定法改正以降、増加し続けているニューカマーと呼ばれる外国籍の子どもたちの間に見られる、教育・進路選択の多様化の実態を把握し、その結果をもとに、ニューカマーへの教育支援のあり方を検討することにある。本研究は、教育の多様化がすでに生じている、群馬県邑楽郡大泉町、同県太田市、静岡県浜松市でフィールド調査および質問紙調査を行い、在日ブラジル人子女の教育・進路選択の多様化と教育支援の関係について比較社会学的に分析した。 その結果、地域間に共通の特徴として次の3点が明らかになった。(1)定住か帰国かという家族の問題、そして、その問題と密接に関係する雇用の問題の狭間にあって、在日ブラジル人子女の教育・進路選択はますます多様化している。(2)その選択肢は、保護者の教育観に加えて経済状況が強く作用していた。(3)児童生徒と保護者の間には、教育・進路選択の志望について指向性のちがいが確認された。特に、日本の公立小中学校に在籍するブラジル児童生徒の場合、進学先はブラジルか日本か、どの教育段階までめざすのかについて、保護者のそれと合致している者が2割に満たない状況であることが判明した。 これらの結果から、進路に関係する情報を提供するとと、具体的な成功例が身近な存在として認識できるような環境を整えること、多様な教育機会を保障することが、今後の在日ブラジル子女への教育支援として求められていることが支援策のひとつとして考えられる。3つの地域では、行政・NPO・地域ボランティア・外国人ネットワークにちがいがあり、その支援策の実効性を高めるための、それぞれの地域応じた方策を提示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 結城 恵: "総合的な学習の時間に求められる教師の役割-「『ぎょうせい』って何だろう」の実践を手がかりに-"日本教育大学協会第二常置委員会編『教科教育学研究』. 第20集. 161-176 (2002)
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[Publications] 結城 恵: "多文化化する教育現場に教師はどう対応しているのか"群馬大学教育学部附属学校教育臨床総合センター『群馬大学教育実践研究』. 19号. 309-319 (2002)
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[Publications] 結城 恵: "人と人とのちがいってなんだろう-ちがいに対するまなざしの教育を-"群馬県総合教育センター『松風』. No.72. 12-15 (2002)
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[Publications] 野山 広, 結城 恵: "在日ブラジル人児童・生徒の言語生活に関する一考察"群馬大学教育学部附属学校教育臨床総合センター『群馬大学教育実践研究』. 20号(印刷中). (2003)
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[Publications] 福田 亘孝: "ヨーロッパと日本の子育て支援政策と出生率"武蔵野女子大学現代社会学部紀要. 第3巻. 111-128 (2002)
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[Publications] 福田 亘孝: "先進諸国における出生・家族政策と出生力"武蔵野女子大学紀要. 第2巻. 109-120 (2001)
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[Publications] 福田 亘孝: "少子化の社会経済的背景"平山宗宏(編)『少子社会と自治体:新たな子育て支援システムの模索と構築』. 16 (2002)