2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410114
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
千本 英史 奈良女子大学, 文学部, 教授 (50188489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 豊生 摂南大学, 国際言語文化学部, 助教授 (50169190)
深澤 徹 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (70173309)
大谷 俊太 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (60185296)
礪波 美和子 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (80324961)
伊藤 聡 茨城大学, 人文学部, 助教授 (90344829)
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Keywords | 偽書 / 古典文学 |
Research Abstract |
平成十四年は当該科研研究の最終年度にあたるが、担当作品についての研究を深化させるとともに、新たな展望を期して、研究代表者の千本のもとで「説話文学会大会シンポジウム<未来記の世界>」を開催し、立教大学教授小峯和明氏、龍谷大学教授出雲路修氏の基調講演を受け、日本中世史(高橋昌明神戸大学教授)、中国文化史(小南一郎京都大学教授)、キリシタン文学(米井力也大阪外国語大学教授)の各隣接分野からのコメントを得て、その基礎的問題典を整理した(司会は阿部泰郎名古屋大学教授)。 九月には、研究分担者の深沢徹、小川豊生の両名が再度北京を訪れ、楊忠氏に再度面談し、指導を受けて、今後の東アジア他地域での偽書との比較研究のための基礎的な知見を得た。 年度末の三月には、研究分担者の伊藤聡、小川豊生、深沢徹、礪波美和子の四名が、フランス、アルザス日本学研究所他の主催になる「パリ・アルザス国際シンポジウム」に参加し、研究発表・交流を行った。 準備期間を含めれば5カ年にわたる研究の結果として、現在確認できているところでいえば、秘伝・口伝を特徴とする中世期の「偽書」と平安〜鎌倉の人物に仮託した近世記の「偽書」(擬書)との間には、性格付けに一定の差異がみられる。両者のありようの性格的な断絶と継承の関係を、さらに成立の背後の社会的な視野を加えつつ検討する必要があると思われる。 また中国を始めとする周辺諸国の「偽書」との比較検討は、まだ研究の緒についたばかりである。今後の進展を期したい。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 千本英史: "「国文学の研究・教育と「デジタル技法」」-奈良女子大学日本アジア言語文化学講座での試み-"教育と情報(私立大学情報教育協会(共著)). vol.11-3 通巻100号. 21-23 (2003)
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[Publications] 伊藤聡: "二間観音と天照大神"日本仏教学会年報. 67号. 219-234 (2002)
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[Publications] 大谷俊太: "げにそらごとぞ鵲の橋ー秘することの意味"江戸文学. 27号. 22-32 (2002)
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[Publications] 大谷俊太: "近世堂上和歌と連歌ー『耳底記』を基点としてー"『国語国文』日野達夫教授退官記念近世文学・近代文学特輯 第一. 72巻2号. 71-86 (2003)
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[Publications] 礪波美和子: "伊勢貞丈自筆『西行記画巻物抜書』考-『座右書』及びサントリー美術館蔵白描西行物語絵巻との比較を通して-附『西行記画巻物抜書』影印・翻刻"叙説(奈良女子大学国語国文学会). 30号. 39-84 (2002)
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[Publications] 礪波美和子: "「国文学の研究・教育と「デジタル技法」」-奈良女子大学日本アジア言語文化学講座での試み-"教育と情報(私立大学情報教育協会(共著)). vol.11-3 通巻100号. 21-23 (2003)
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[Publications] 千本英史: "『今昔物語集を学ぶ人のために』「鈴鹿本」・「仏法・王法・世俗」"世界思想社. 236-242,290-293 (2003)
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[Publications] 伊藤聡: "『王権と神祇』「中世密教における神道相承について-特に麗気灌頂相承血脈をめぐって」"思文閣出版. 219-243 (2002)
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[Publications] 伊藤聡: "『太陽神の研究』(上巻)「中世日本における太陽信仰-特に天照大神と愛染明王の習合を巡って」"リトン. 191-208 (2002)
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[Publications] 大谷俊太: "『富士山と日本人』「富士を伊達に詠むこと-富士詠の近世」"青弓社. 161-180 (2002)
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[Publications] 大谷俊太: "『テニハ秘伝の研究』「テニハ伝受と余情ーつつ留り・かな留りをめぐってー」"勉誠出版. 113-133 (2003)
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[Publications] 小川豊生: "『<新しい作品論>へ、<新しい教材論>へ・古典編』「「俊成自讃歌の事」と転形期の和歌観」"右文書院. 103-121 (2003)
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[Publications] 小川豊生: "『今昔物語集を学ぶ人のために』「辺境・異郷・在地」・「今は昔」"世界思想社. 129-136,288 (2003)
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[Publications] 深沢徹: "自己言及テキストの系譜学ー平安文学をめぐる七つの章段"森話社. 285 (2002)
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[Publications] 深沢徹: "『<新しい作品論>へ、<新しい教材論>へ・古典編』「『方丈記』と『愚管抄』の、隠れた争点-安元の大火における「意味付け」の拒否、もしくはその多様化へ向けて」"右文書院. 312-332 (2003)
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[Publications] 深沢徹: "『今昔物語集を学ぶ人のために』「宮中・平安京」・「慣用表現・常套表現」"世界思想社. 114-121,303-305 (2003)