2001 Fiscal Year Annual Research Report
英文学における心身の相関性に関する比較表象文化論的考察
Project/Area Number |
12410118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 祥一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈間 文俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00161258)
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
内野 儀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40168711)
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Keywords | 表象文化論 / 英文学 / 身体 / 心 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の成果に基づいて、心身二元論再考と心身二元論の克服への試みをめぐって、以下のような主題に絞って、イメージ分析的考察を進めた。(a)シェイクスピアを中心とするルネサンス演劇における「心身二元論」の様態に関する分析。(b)デカルト的二元論は文芸の言説において汎ヨーロッパ的影響を見ることができるか。(c)心身二元論は文芸においてどのような形で克服されなければならない問題として捉えられているか。 具体的には、(a)ギリシア神話におけるヘラクレスの超人的身体とルネサンスにおける理想の人間像との相関関係を中心として、シェイクスピアの『ハムレット』を巡る心身の関係を検証し、イギリス・ルネサンス期の心身の結びつきを分析した。(b)特にキケロ及ぴ古代ギリシア文学との関連を中心として、文芸の言説におけるデカルト的二元論の汎ヨーロッパ的影響を確認した。さらに、ヨーロッパ・アジアにおけるモダンの幻想を分析することにより、前モダンにおける心身の自然な結びつきの重要性を発見した。(c)「文芸」の意味内容を広く、アメリカ演劇、中国映画、日本の俳句などさまざまなジャンルにまたがるものとして捉え、英文学を中心の射程としつつ、比較表象文化論的に心身の相関性を考察し、東洋的心身相関論の系譜と西洋的心身相関論の系譜の近似を確認した。特にパフォーマンスという概念の導入により、演劇の身体性が心の表現体としてどのように機能しえるのかという研究に大きな成果があった。また、当初は、ジュディス・バトラーのようなフェミニズム・ジェンダー論の立場を全くとらないことを予定していたが、研究を進めるにしたがって、身体性の男女共通の一義的な定義が難しいことが理解されるようになり、今後はジェンダーの問題をも取り上げざるを得ないと考えている。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 高田康成: "キケロとギリシア"『ギリシア世界からローマへ』 採流社. 223-251 (2001)
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[Publications] 高田康成: ""Postmodern Girl," What To Do With Cultural Studies in Asia"Proceedings of the Third AEARU Clutural Workshop. 11月号. 3-17 (2001)
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[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(上)"NFCニューズ・レター. 第40号. 4-5 (2001)
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[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(下)"NFCニューズ・レター. 第41号. 4-6 (2002)
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[Publications] 高田康成: "The Illusions of the Modern and the Pleasures of the Pre-Modern"Overcoming Postmodernism:"Overcoming Modernity" and Japan. 154-175 (2002)
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[Publications] 高田康成: "Leonardo Bruni's Cicero Novus"ヨーロッパ研究. 3月号. 1-29 (2002)
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[Publications] 河合祥一郎: "The Date of Twelfth Night"Shakespeare Studies. Vol.38. 1-16 (2001)
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[Publications] 河合祥一郎: "『ハムレット』の謎を解く"言語・特集シェイクスピア学の楽しみ. 10月号. 28-36 (2001)
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[Publications] 杉橋陽一: "明治の「新派」俳句"『子規・写生-没後100年-』 角川書店. 113-122 (2001)
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[Publications] 杉橋陽一: "子規の写生俳句とマスメディア"国文学. 7月号. 24-31 (2001)
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[Publications] 杉橋陽一: "練達の俳人沢木欣一"俳句. 2月号. 146-151 (2002)
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[Publications] 内野 儀: "モダニズムか構成主義か"ユリイカ. 5月号. 260-264 (2001)
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[Publications] 内野 儀: "演劇批評の諸問題(1)"演劇人. 第7号. 43-52 (2001)
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[Publications] 内野 儀: "野田秀樹とサム・シェパード"ユリイカ. 6月増刊号. 134-142 (2001)
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[Publications] 内野 儀: "演劇批評の諸問題(2)"演劇人. 第8号. 116-124 (2001)
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[Publications] 内野 儀: "身体からパフォーマンスへ"國重純二編『アメリカ文学ミレニアムII』 南雲堂. 424-445 (2001)
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[Publications] 刈間文俊: "街の記憶と記憶の街"シャワー こころの湯. 6-6 (2001)
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[Publications] 河合祥一郎: "ハムレットは太っていた!"白水社. 256+lxii (2001)
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[Publications] 高田康成: "ムーサよ語れ-古代ギリシア文学への招待"三陸書房(近刊につき未定). (2002)
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[Publications] 河合祥一郎: "大修館シェイクスピア双書『ハムレット』"大修館書店. xx+416 (2001)