2002 Fiscal Year Annual Research Report

英文学における心身の相関性に関する比較表象文化論的考察

Research Project

Project/Area Number	12410118
Research Institution	The University of Tokyo
Principal Investigator	河合祥一郎東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	刈間文俊東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00161258) 高田康成東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056) 杉橋陽一東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278) 田尻芳樹東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20251746) 内野儀東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40168711)
Keywords	表象文化論 / 英文学 / 心 / 身体
Research Abstract	本年度は本研究の最終年度であり、以下のような総括的考察を進めた。(a)心身二元論を中軸として見た場合、その典型的相関関係は、西洋的見地からすればデカルト的に捉え得るのであるが、東西の比較文化的考察を踏まえれば、むしろ東洋的身体性と西洋的心性との類似を見ることができる。すなわち、キリスト教の固い「コルプス」(身体)とは違って、東洋的身体性は形無き心性と容易に結びつき得る。結局、西洋的心身の概念と東洋的心身の概念のすり合わせは不可能であると言わざるを得ない。(b)二元論的分裂以降、西洋的心身二元論の系譜は、東洋的系譜へ近づこうとしている傾向がある。したがって、心身二元論の系譜が依拠している「文化的特性」が、国際的文化混交によって変化していく現代社会において、東洋的な心身相関論は今後ますます注目を集めていくことになると思われる。(c)比較文化的見地に立つとき、心身の相関関係における概念と表象の齟齬はどのように検証されうるかという点については、アメリカのパフォーマンスやシェイクスピアなどの個々の具体例においてそれぞれ確認していかざるを得ないが、総括的見地から言えば、異文化の交流によって「心身表象」の意味を増幅することができる。さまざまな異文化が英国に流入した中世後期から近代初期において英国演劇が興隆したひとつの理由はそこにある。それゆえ、多様な表象文化を分析するに当たって、その文化圏とは違った心性を持つ研究者は、その文化的差異ゆえに新たな知見を示し得るという所見を得た。以上の研究成果には、イギリスのシェイクスピア研究所で開催されるシェイクスピア国際学会やオーストラリアでのベケット・シンポジウムでの濃厚なプログラムへの参加、およびアメリカのダンス・パフオーマーであるモリッサ・フェンレイ氏のパフォーマンスへの参加によって得た貴重な知見が重要な貢献をしていることを特筆したい。

Research Products
(17 results)

All Other

All Publications (17 results)

[Publications] 杉橋陽一: "練達の俳人沢木欣一"「俳句」(角川書店). 2月号. 146-151 (2002)
[Publications] 杉橋陽一: "鬼房の道化的転生"「俳句」(角川書店). 5月号. 175-179 (2002)
[Publications] 杉橋陽一: "綾子の「老い」"「俳句」(角川書店). 12月号. 88-91 (2002)
[Publications] 高田康成: "Leonardo Bruni's Civero Novus"ヨーロッパ研究. 創刊号. 65-79 (2002)
[Publications] 高田康成: "ポストモダン・ガール"『21世紀』(ISU、ソウル) [韓国語訳]. 17号. 19-34 (2002)
[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(上)"NFCニューズレター. 第40号. 4-5 (2002)
[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(下)"NFCニューズレター. 第41号. 4-5 (2002)
[Publications] 内野儀: "「帝国」と演劇-ネオリペラリズムに抗して"舞台芸術. 第1号. 196-210 (2002)
[Publications] 内野儀: "「アジア系」から遠く離れて-レザ・アブドーと危機的身体"東京大学アメリカ太平洋研究. 63-74 (2002)
[Publications] 内野儀: "想像力と奪還する-「歴史と地理」を回復するために"舞台芸術. 第2号. 182-196 (2002)
[Publications] 田尻芳樹: "Beckett and Haniya Yutaka : Two Versions of the Ontological Enquiry"Journal of Irish Studies. Vol.17. 109-116 (2002)
[Publications] 河合祥一郎: "PlayerからActorへ-エリザベス朝における演技の変化"Shakespeare News. Vol.42. 7-17 (2002)
[Publications] 河合祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(上)"英語青年. 1月号. 602-606 (2002)
[Publications] 河合祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(下)"英語青年. 2月号. 696-700 (2002)
[Publications] 刈間文俊: "中国電視劇越来好看"参考消息(中国新華通信社). 5月18日号. 8 (2002)
[Publications] 高田康成, (Kevin Doak 共編著): "Overcoming Postmodernism : 'Overcoming Modernity' and Japan"Shubun-Kan. 142 (2002)
[Publications] 河合祥一郎(共著): "川崎淳之助・大場建治・荒井良雄編集主幹『シェイクスピア大事典』"日本図書センター. 1037 (2002)

2002 Fiscal Year Annual Research Report

英文学における心身の相関性に関する比較表象文化論的考察

Principal Investigator

河合 祥一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)

Research Products

[Publications] 杉橋 陽一: "練達の俳人沢木欣一"「俳句」(角川書店). 2月号. 146-151 (2002)

[Publications] 杉橋 陽一: "鬼房の道化的転生"「俳句」(角川書店). 5月号. 175-179 (2002)

[Publications] 杉橋 陽一: "綾子の「老い」"「俳句」(角川書店). 12月号. 88-91 (2002)

[Publications] 高田 康成: "Leonardo Bruni's Civero Novus"ヨーロッパ研究. 創刊号. 65-79 (2002)

[Publications] 高田 康成: "ポストモダン・ガール"『21世紀』(ISU、ソウル) [韓国語訳]. 17号. 19-34 (2002)

[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(上)"NFCニューズレター. 第40号. 4-5 (2002)

[Publications] 高田 康成: "チネチッタという表象(下)"NFCニューズレター. 第41号. 4-5 (2002)

[Publications] 内野 儀: "「帝国」と演劇-ネオリペラリズムに抗して"舞台芸術. 第1号. 196-210 (2002)

[Publications] 内野 儀: "「アジア系」から遠く離れて-レザ・アブドーと危機的身体"東京大学アメリカ太平洋研究. 63-74 (2002)

[Publications] 内野 儀: "想像力と奪還する-「歴史と地理」を回復するために"舞台芸術. 第2号. 182-196 (2002)

[Publications] 田尻 芳樹: "Beckett and Haniya Yutaka : Two Versions of the Ontological Enquiry"Journal of Irish Studies. Vol.17. 109-116 (2002)

[Publications] 河合 祥一郎: "PlayerからActorへ-エリザベス朝における演技の変化"Shakespeare News. Vol.42. 7-17 (2002)

[Publications] 河合 祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(上)"英語青年. 1月号. 602-606 (2002)

[Publications] 河合 祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(下)"英語青年. 2月号. 696-700 (2002)

[Publications] 刈間 文俊: "中国電視劇越来好看"参考消息(中国 新華通信社). 5月18日号. 8 (2002)

[Publications] 高田 康成, (Kevin Doak 共編著): "Overcoming Postmodernism : 'Overcoming Modernity' and Japan"Shubun-Kan. 142 (2002)

[Publications] 河合 祥一郎(共著): "川崎淳之助・大場建治・荒井良雄編集主幹『シェイクスピア大事典』"日本図書センター. 1037 (2002)

河合祥一郎東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)

[Publications] 杉橋陽一: "練達の俳人沢木欣一"「俳句」(角川書店). 2月号. 146-151 (2002)

[Publications] 杉橋陽一: "鬼房の道化的転生"「俳句」(角川書店). 5月号. 175-179 (2002)

[Publications] 杉橋陽一: "綾子の「老い」"「俳句」(角川書店). 12月号. 88-91 (2002)

[Publications] 高田康成: "Leonardo Bruni's Civero Novus"ヨーロッパ研究. 創刊号. 65-79 (2002)

[Publications] 高田康成: "ポストモダン・ガール"『21世紀』(ISU、ソウル) [韓国語訳]. 17号. 19-34 (2002)

[Publications] 高田康成: "チネチッタという表象(下)"NFCニューズレター. 第41号. 4-5 (2002)

[Publications] 内野儀: "「帝国」と演劇-ネオリペラリズムに抗して"舞台芸術. 第1号. 196-210 (2002)

[Publications] 内野儀: "「アジア系」から遠く離れて-レザ・アブドーと危機的身体"東京大学アメリカ太平洋研究. 63-74 (2002)

[Publications] 内野儀: "想像力と奪還する-「歴史と地理」を回復するために"舞台芸術. 第2号. 182-196 (2002)

[Publications] 田尻芳樹: "Beckett and Haniya Yutaka : Two Versions of the Ontological Enquiry"Journal of Irish Studies. Vol.17. 109-116 (2002)

[Publications] 河合祥一郎: "PlayerからActorへ-エリザベス朝における演技の変化"Shakespeare News. Vol.42. 7-17 (2002)

[Publications] 河合祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(上)"英語青年. 1月号. 602-606 (2002)

[Publications] 河合祥一郎: "『成り上がり者のカラス』はシェイクスピアにあらず(下)"英語青年. 2月号. 696-700 (2002)

[Publications] 刈間文俊: "中国電視劇越来好看"参考消息(中国新華通信社). 5月18日号. 8 (2002)

[Publications] 高田康成, (Kevin Doak 共編著): "Overcoming Postmodernism : 'Overcoming Modernity' and Japan"Shubun-Kan. 142 (2002)

[Publications] 河合祥一郎(共著): "川崎淳之助・大場建治・荒井良雄編集主幹『シェイクスピア大事典』"日本図書センター. 1037 (2002)