2001 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀英語圏文学における「イギリス文学」「アメリカ文学」概念の変容
Project/Area Number |
12410119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 元幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90170901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20126014)
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
平石 貴樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10133323)
HUGHES G. E. H 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 客員教授 (10281700)
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Keywords | 英語圏文学 / イギリス文学 / アメリカ文学 |
Research Abstract |
昨年度につづいて、第二次世界大戦後から現代に至る、英語圏文学テクストの網羅的収集をめざして、作成した基本リストに基づき、インターネット調査、海外への調査研究等の手段も用いて、系統的に文献収集を行なってきた。いまやその過程の検討を待たずとも、ポストコロニアリズム研究をはじめとし、いわゆる英文学研究にあって「イギリス文学」「アメリカ文学」といった従来の枠の自明性が消滅したことは今日ますます常識化しつつあり、新たな「英語圏文学」を包括的に捉える視点の重要性が明らかになってきている。これに伴って、本研究のひとつの眼目である、American, British, Englishといった語群の意味の変容を検討する作業についても、従来どおりさらに広い文脈で考察を進めるべく、鋭意検討中である。また、雑誌論文・著書執筆、また学会発表、翻訳などを通して、本研究で得た知見を含む研究の成果をすでに一部公表した。研究代表者柴田はポーランド系アメリカ人作家スチュアート・ダイベックを論じた論文などにおいて「アメリカ文学」の見取り図自体に新たな視点を加えることを試みるとともに、カリブ出身英語圏作家ジャメイカ・キンケイドを論じた論文(印刷中)などにおいて、広域英語圏文学を考える上で大きな問題となる差別・権力の問題に関し、現代アメリカ文学研究者の視点から考察を加えた。さらに、より一般的・啓蒙的な媒体においても、「現代の英語圏文学」等の表題で研究成果を公表し、立教英文学会、日露作家会議などの場を通して、文学翻訳における諸問題世界文学の文脈から見た現代英語圏文学の意義など、本研究と関連の深いテーマで研究発表を行なった。
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