2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12420010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 克哉 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20163660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安念 潤司 成蹊大学, 法学部, 教授 (00125981)
小野 奈穂子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (20345169)
ケネラー ロバート 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20302797)
隅蔵 康一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80302793)
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Keywords | 特許 / ビジネスモデル / ソフトウェア / インターネット / 知的財産権 / 登録要件 / 権利行使 |
Research Abstract |
ビジネスモデルパテントは、日米欧において、その特許性の余地は認められるものの、従来の技術の延長にはない特徴を備えているため、いまだどの範囲を特許の対象とすべきか、あるいは特許の対象とするとしてもどのような形式で保護するか、ということについて、未だ国際的に様々な議論がなされている。このような問題に対し、理論的・実証的な研究によって見通しを与え、ビジネスモデルに対する特許保護の方向を打ち出すことは喫急の課題である。 本研究は、ビジネスモデルについて、1)特許制度の目的に照らして保護賠償をいかに設定すべきかという原理的な問題、2)保護対象とする場合、登録用件をどのように判断すべきかという問題、3)登録後の特許権の権利範囲をどのように確定すべきかという権利行使上の問題、という3つの大きな課題を設定し、研究を行うものである。 本研究の対象であるビジネスモデルパテントについて、研究開始時においては、日米欧のいわゆる三極において特許として成立するかどうかを含め、何ら意見の一致を見ない状況であった。また、経済活動へのインパクトが極めて大きく、場合によって円滑な事業活動を阻害する大きなリスクである、との観測もなされていた。 本研究の結果明らかとなったのは、次のようなことである。 (i)純粋なビジネス方法に特許の成立を認める「アメリカ合衆国型」と、あくまで技術的創作に対象を限る「ヨーロッパ型」に、各国の法制が収歛しつつある。 (ii)アメリカ特許法の現状は、判例法主義を採る同国における独特な法発展の結果であって、必ずしも普遍性はない。 (iii)ヨーロッパ型の諸国においてはもちろん、アメリカ合衆国型の法制の下でも、かつて危倶されていたような事業活動リスクは、発生していない。 (iv)むしろ、医療保険制度など各国独自の法制度によって規定されるビジネス方法に特許が成立することにより、新規な事業展開について独特のリスクが生ずる可能性がある。したがって、登録要件と権利範囲に関しては、他の法制度とも関連づけつつ、再検討する必要がある。 これらについては論文等の形式で得られた知見を明らかにすべく、準備中である。
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