2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440020
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 隆 岡山大学, 理学部, 教授 (70005809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 雅治 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (30166441)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
勝田 篤 岡山大学, 理学部, 助教授 (60183779)
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90235507)
加須栄 篤 金沢大学, 理工学部, 教授 (40152657)
|
Keywords | リーマン多様体 / アレキサンドロフ空間 / 曲率 / 計量不変量 / 距離関数 |
Research Abstract |
代表者の酒井はリーマン多様体における種々の計量不変量の間に成り立つ関係,計量不変量と空間構造の関連をテーマとして研究を続けてきた.最近,勾配ベクトル場のノルムが一定な関数を許容するリーマン多様体に関して,その構造を調べる際リッチ曲率が重要な役割を果たし,標準的な振れ積計量を特徴づけることを示した.また,さらにその摂動版を考察した.上記課題に関する科研費の援助の下で,さらに次の問題設定の下で研究を続けている: (1)距離関数のモース理論をさらに発展させること:距離関数は微分可能でない点があるが,危点の概念を幾何学的に定義できる.危部分多様体の観点からは,曲率1以上で直径(半径)がπ/2のアレキサンドロフ空間の構造が次に調べるべき場合であると思われる.リーマン多様体の場合よりさらに多様であるが,構造定理や,他の計量不変量との関連まで込めて検討をおこなった. (2)幾何学的不等式:n次元コンパクト・リーマン多様体の体積を直径のn乗で割った量を最大にする計量は何かを考察している.この場合(リッチ)曲率が非負という様な曲率に関する条件が必要で,2次元球面の場合でもA.D.Alexandrovによる予想があるが未解決である.最大値を取る筈の計量は滑らかでないが曲率非負のアレキサンドロフ空間になっている.そこで,リーマン多様体の収束理論や極限空間のアレキサンドロフ空間の幾何を用いて解決できないかを検討している. これに関連して,分担者の塩谷は3次元アレキサンドロフ空間の崩壊現象を詳しく調べ,またアレキサンドロフ空間における解析を展開した.加須栄はリーマン多様体族におけるスペクトル距離とグロモフ・ハウスドルフ距離の関係を解明した.酒井はまた,リッチ曲率が下から押さえられた多様体族とその極限について,研究会Surveys in Geometry:「リーマン多様体とその極限」における最近のT.H.ColdingやJ.Cheegerによる重要な仕事の報告「リッチ曲率が下から押さえられた多様体族とその極限」;pp147-241)の出版準備のためにさらに検討をおこなった. 上記課題に関連して他の分担者達の行った研究については,勝田はグラフやリーマン多様体のスペクトルに関する逆問題の考察を続け,田村は磁場における散乱のAharonov-Bohm効果の数学的解析を行った.森本は同変手術障害類の消滅定理を用いて閉円盤や球面上の群作用を研究した.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Takashi Sakai: "Warped products, Ricci curvature and distance functions"Tohoku Mathematical Publications (Proceedings of the Fifth Pacific Rim Geometry Conference). 20. 163-172 (2001)
-
[Publications] Hiroshi Ito, Hideo Tamura: "Aharonov-Bohm effect in scattering by point-like magnetic fields at large separation"Ann.Henri Poincare. 2. 309-359 (2001)
-
[Publications] Hiroshi Ito, Hideo Tamura: "Asymptotic behavior of scattering amplitudes in magnetic fieds at large separation"J.Math.Soc.Japan. 53. 645-668 (2001)
-
[Publications] Masaharu Morimoto: "Equivariant surgery with middle dimensional singular sets. II : Equivariant framed cobordism invariance"Trans. of Amer. Math. Soc.. 353. 2427-2440 (2001)
-
[Publications] Atsushi Kasue: "Convergence of Riemannian manifolds and Laplace operators I"Ann. Institut Fourier (in press).
-
[Publications] K.Kuwae, K.Machigashira, Takashi Shioya: "Sobolev spaces, Laplacian, and heat kernel on Alexsandrov spaces"Math.Z.. 238. 269-316 (2001)
-
[Publications] 加須栄 篤: "リーマン幾何学"培風館. 264 (2001)