2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 知之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80211811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏昌 滋賀大学, 教育学部, 講師 (60280450)
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Keywords | 周期進行波 / モード相互作用 / 標準形 / 振幅変調波 |
Research Abstract |
周期構造(特に周期的な進行波)の分岐,分岐解の安定性解析,2次分岐とそのダイナミクスなどの研究を,ある種の非線形波動方程式に焦点をあてて行った.これらは液膜流などの流体の問題が起源であり,現時点ではソリトン系で知られるKdV方程式の摂動系で調べているが,非線形非平衡系におけるパターン形成の一種の典型的なものとも考えられる. 一般に異なる波数の周期解が同時に分岐するので,それらの相互作用が起こりうる.異なるモードの相互作用をダイナミカルに見るために,適当な周期的境界条件を課し,2つの波数の周期解のみ分岐しうる状況を設定した.(これは特殊な状況ではなく,無限区間ではこれらが集積していると考えられる.)そこでは単一の周期解自身は安定ではなく,2つが重ねさった変調波が安定に得られることを,中心多様体上の力学系を考察することにより明らかにした.これは,分岐して得られた周期解の枝からの2次分岐である.中心多様体理論の一般的な適用ではなく,退化した分岐点のまわりで,ベクトル場の標準系を厳密に求めることにより,完全にダイナミクスを分類できた.(この最後の部分は現在,P.Bates,X-F.Chenとの共同研究として準備中である.) 対称性をもつ退化特異点まわりで標準形理論を用いた解析は弱非線形解析としてよく用いられる手段であるが、本研究では標準形をある次数まで完全に求めたことにより合成波モードの安定性や周りのダイナミクスに対して厳密な結果が得られた。次年度以降はこうした解析を多次元のパターン形成などに応用していく予定である。
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[Publications] To Ogawa: "Periodic travelling waves and their modulation"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 18(2)(掲載予定). (2001)
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[Publications] 小川知之: "周期波とその分岐構造-液膜流におけるパターン形成-"数理科学. 38(8). 28-35 (2000)