2001 Fiscal Year Annual Research Report
統計力学の数理モデルにおけるランダムな形の形成と揺らぎの研究
Project/Area Number |
12440027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 康剛 神戸大学, 理学部, 教授 (70183514)
宮川 鉄朗 神戸大学, 理学部, 教授 (10033929)
福山 克司 神戸大学, 理学部, 助教授 (60218956)
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
山崎 正 神戸大学, 理学部, 教授 (30011696)
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Keywords | 2次元Widom-Rowlinsonモデル / 相境界 / 局所型極限定理 / 表面張力 / 相構造 / パーコレーション / 3粒子モデル |
Research Abstract |
本年度の研究は、2次元Widom-Rowlinsonモデルについてのクラスター形成と相境界の揺らぎについて中心的に研究を行ない、以下に述べるような二つの成果を得た。いずれの研究も現在発表準備中である。Widom-Rowlinsonモデルの特徴は2種類の粒子が異種粒子が隣接しないという条件をみたしながら存在し、空白の場所にはエネルギーがかかるというモデルである。本質的に2粒子のモデルでありながら、3粒子モデルの特性も持っている。 1.低温における境界相の揺らぎに関する局所型極限定理の成立 この研究は、2次元Isingモデルにおいて傾きのある相境界を出現させる境界条件のもとで、DobrushinとHrynivによって発見された現象の一般化を目指すものである。傾いた境界条件の下に、片方の相がより多い体積を持つという条件をつけた場合に、表面張力によって特徴づけられるガウス過程が極限で現れることをWidom-Rowlinsonモデルにおいても示すことができるが、鍵となるのはこのモデルがIsingモデルよりもはるかに大きい揺らぎを持つことをどのように制御するかということである。われわれはこの問題を、対数的母関数の解析性の精密な評価を導くことによって解決した。現在、q状態PottsモデルにおけるAntonov現象と呼ばれる臨界点で相境界が二つ現れる現象の解析にこの手法が使えないか研究を進めている。 2.低温における相構造の解明 相の構造というデリケーとな問題を扱うと、随所にモデルの3粒子性が顔を出す。十分高温ならば典型的にはどちらかの粒子が支配的な相しか現れないだろうという予想は既に1980年にはされていたが、これまでにまとまった結果はなにも発表されていない。われわれ、これまでに得た結果は、まだ限定的なものではあるが、低温においてどちらかの方向への平衡移動不変性があるような平衡状態は本質的にどちらかの粒子が支配的に存在するものしかないというものである。現在、この平衡移動に関する不変性を除くべく研究を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.O.Georgii: "Percolation and number of Phases in the 2D Ising model"J. Math. Phys.. 41. 1153-1169 (2000)
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[Publications] Y.Higuchi: "On the speed of convergence for the two dimensional first-passage percolation"The Annals of Probability. 28. 353-378 (2000)
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[Publications] K.Fukuyama: "On the asymptotic distribution of pseudorandom functions"Monte Carlo Methods and Applications. 6. 167-174 (2000)