Research Abstract |
計画調書の研究目的にかかげた目標に関する幾つかの興味ある成果が得られた.以下にその主なものを挙げる. (1)方程式 (E)-ε^2Δu+a(x)u=f(x,u) x∈Ω,u(x)=0 x∈∂Ω に対して,次の定理を得た. (i)ΩはIR^Nの有界領域,f(x,u)=|u|^<q-2>u,q∈(2,2^*),2^*=2N/(N-2)(subcritical)とする.a(x)はa(x)≡0に充分近く,最大値をとる集合がS^<N-1>とhomotopically equivalentであるとき,十分小さなεに対して(E)は少なくとも3個の正値非自明解を許す.この結果は,正値解の多重性に関して,領域の位相的性質よりも,係数関数が最大値を達成する集合の位相的性質がより支配的であるという重要な知見を与えている. (ii)Ω=IR^N,ε=1とする.f(x,u)がsubcritical条件をみたし,|x|→∞としたときf^∞(u)に充分早く近付き,更に,G⊂O(N)をみたし,S^<N-1>に効果的に作用する(即ち^∀x∈S^<N-1>,^∃g∈G s.t.gx≠xをみたす)群G(例えばG={id,-id})に関しf(x,u)が不変,i.e.f(gx,u)=f(x,u),^∀g∈G,x∈IR^Nをみたすとき,(E)は少なくとも一つのG不変な非自明解を許す.この結果は,対応するSobolevの埋め込みがcompact性を回復しなくても,Palais-Smale列の詳しい解析により解の構成ができた点で重要な知見である. (iii)Ω=R^N\B_R,B_R={x∈IR^N;|x|【less than or equal】R},f(x,u)=(1-r)^<-α>u^β,ε=1,a(x)≡0とする.α=0,2^*<q<+∞(supercritical)に対して(E)はH^1(Ω)∩L^q(Ω)に属する(球対称)非自明解をもつことが我々の最近の研究により知られていたが,非自明解の非存在の為の十分条件(α【greater than or equal】β+1など)が得られた.これは,従来の結果を包含する一般的な結果を与えている. (2)方程式 (E)_2 -Δ^2u=|u|^<q-2>u x∈Ω,u(x)=∂u/∂n=0 x∈∂Ω の非自明解の存在・非存在に関して,Ωが内部領域,外部領域,全空間(IR^N)での結果が美しい相補性を有していることが示された.これは,二階の同様な方程式に対して,我々の一連の研究によって明かにされてきた事実の類似の結果を与えている.しかしながら,二階の場合に対して用いられた変換は,この場合有効ではなく,新たなKelvin型の反転変換が開発された.これは,4階半線形楕円型方程式の今後の研究に重要な道具を提供するものと考えられる.
|