2000 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導トンネル接合素子を用いた紫外線1光子分光検出器の開発
Project/Area Number |
12440057
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大谷 知行 理化学研究所, 研究基盤ツール開発推進グループ, 研究協力員(研究職) (50281663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 隆之 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (10301748)
佐藤 広海 理化学研究所, 研究基盤ツール開発推進グループ, 研究協力員(研究職) (20300874)
清水 裕彦 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 室長(副主任研究員) (50249900)
滝澤 慶之 理化学研究所, 情報基盤研究部・イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (70312246)
池田 時浩 理化学研究所, 原子物理学研究室, 研究員 (80301745)
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Keywords | 超伝導トンネル接合素子 / 検出器 / 紫外線 / 1光子分光 |
Research Abstract |
平成12年度は、紫外線用STJ素子の設計・試作・評価と、紫外線導入システムの開発を行った。 素子の試作では、理化学研究所内のSTJ作製専用プロセスラインを用いて、これまで我々のグループで開発を行なってきたX線検出器用の素子の製作技術をベースとして、紫外線用のSTJの試作を行った。X線検出器用素子では、表面の保護膜としてSiO2層を積層しているが、紫外線の場合にはこのSiO2層が光子を吸収してしまう。そこで、素子性能を損なうことなくSiO2膜を除去するプロセスを新たに導入した。また、X線よりも信号電荷の小さな紫外線に対しても十分な感度を得るために、Alの準粒子トラップ層の厚みを従来よりも4割厚くして、マルチトンネリング効果による信号電荷の増幅を図った。この結果、従来に比べて発生信号電荷量が5倍以上大きくなった。この素子の光子に対する応答特性を測定するために、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光施設(KEK-PF)において真空紫外線光源を用いて性能評価を行なった。その結果、約50eV(波長250Å)のエネルギーの光子について、国内で初めて一光子分光検出を行なうことができた。このときのエネルギー分解能は約15eVであったが、読み出し雑音の寄与を差し引くと、検出器単体のエネルギー分解能が約4eV程度を達成していることがわかった。この値は、波長3,000Åの一光子のエネルギーに相当し、素子性能として、可視光域に極めて近い紫外線光子に対しても一光子検出が可能なレベルを達成していることが確認された。 また、上記の実際の実験での経験を踏まえて、実験室レベルでの素子評価用単色紫外線光源の検討を行ない、別添リストに挙げた備品類を組み合わせて、紫外線導入システムの開発を行なった。来年度以降、上記の素子のさらなる性能向上を図り、この紫外線導入システムを用いた評価と作製へのフィードバックをすすめるとともに、測定波長も1,000Åを越える領域まで拡大していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Sato,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe 他4名: "Development of Superconducting Tunnel Junctions with Al Trapping Layers for X-ray Detectors"Institute of Physics Conference Series. 167巻. 683-686 (2000)
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[Publications] C.Otani,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe 他4名: "Properties of Substrate Phonon Events in Superconducting Tunnel Junctions Induced by X-ray Absorption"Japanese Journal of Applied Physics. 39巻・4B号. 1710-1718 (2000)
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[Publications] H.Sato,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe 他4名: "Improved Fabrication Method for Nb/Al/AlOx/Al/Nb Superconducting Tunnel Junctions as an X-ray Detector"Japanese Journal of Applied Physics. 39巻・9A号. 5090-5094 (2000)
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[Publications] C.Otani,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe 他4名: "Spectral Features of Substrate Phonon Events Obrained by Illiuminating Superconducting Tunnel Junctions with X-rays"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. (出版中). (2001)
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[Publications] T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.Sato,H.M.Shimizu,Y.Takizawa,H.Watanabe 他4名: "A High-Resolution X-ray Detection System using STJ and SQUID Amplifier"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. (出版中). (2001)
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[Publications] Y.Takizawa,T.Ikeda,H.Kato,K.Kawai,H.Miyasaka,T.Oku,W.Ootani,C.Otani,H.Sato,H.M.Shimizu,H.Watanabe 他4名: "Development of Superconducting Tunnel Junctions for Ultrasoft X-ray Detectors"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. (出版中). (2001)