2001 Fiscal Year Annual Research Report
半導体単一量子ドット中の光学遷移のコヒーレント操作
Project/Area Number |
12440084
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 不二雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30200083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 隆 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00272659)
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Keywords | 半導体量子ドット / 励起子 / コヒーレント制御 / 顕微分光 / フェムト秒光パルス / 時間分解分光法 / 工学遷移 / ダイナミックス |
Research Abstract |
半導体量子ドット中の電子、励起子準位の幅は非常に狭く、吸収、発光スペクトル線の幅は極端に狭い。しかし、試料作成時に導入されるドットサイズの不均一性に起因する不均一広がりのために、個々のドットの準位の鋭さは隠され、通常の吸収、発光スペクトルは幅広いものとなっている。この不均一広がりによる困難を乗り越えて、量子ドット中の光学遷移を自由に操作するために、本研究では(a)極めて精密((3C9161fs)に時間間隔の制御(位相制御)されたパルス対を用いて物質内に生成された2つの分極の干渉の時間変化を利用する原理的に新しい時間分解分光法であるコヒーレント制御法と(b)光照射される量子ドットの数を極端に限定し、単一量子ドットの光励起や発光の観測を可能にしてくれる微小領域観測装置を組み合わせた全く新しい測定装置を組み上げ、半導体単一量子ドット中の光学遷移をコヒーレント制御し、量子ドット中の電子、励起子およびそのダイナミックスを調べることを研究目的としている。 本年度は、極低温での測定が可能なように、温度を変化させても試料位置のずれが少ない新しいタイブのHeデュアーを購入し、顕微分光の実験を行った。その結果、液体ヘリウム温度から液体窒素温度までの温度を変えて単一のGaAs量子ドットからの発光がこの装置を用いて観測できるようになった。 コヒーレント制御法の根幹の技術であるフェムト秒光パルス対の位相固定化の装置の改良にも取り掛かり、フェムト秒光源とこの位相固定化装置を組み合わせてフェーズロックされたフェムト秒光パルス対が安定に得られるようになった。この装置を用いて、GaAs量子ドット中の励起子状態の位相緩和時間を測定し、位相緩和時問が約1nsと非常に長いことを確認した。また、実際に量子ドット中の励起子遷移をコヒーレント制御することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kuroda, A.Tatsugawa, F.Minami, S.Seto, K.Takita: "Time-resolved lumininescence of high-density magnetic polarons in CdMnTe"Physica E.. 10. 344-347 (2001)
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[Publications] T.Kuroda, Y.Hashimoto, F.Minami: "Photo-induced Faraday rotation in GaAs/AlGaAs multiple quantum wells"J. Luminescence. 94-95. 551-554 (2001)
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[Publications] Y.Mitsumori, R.Kawahara, T.Kuroda, F.Minami: "Ultrafast phase distortion of the transmitted pulse in CaAs quantum wells"J. Luminescence. 94-95. 645-648 (2001)
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[Publications] H.Tobioka, Y.Mitsumori, F.Minami, A.Hasegawa: "Time-resolved three-pulse photon echoes in GaSe"J. Luminescence. 94-95. 601-604 (2001)
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[Publications] Y.Mitsumori, F.minami: "Symmetry of 2P exciton wave function in strained ZnSe"Phys. Stat. Sol. (b). 223. 117-121 (2001)
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[Publications] T.Kuroda, F.Minami, S.Seto: "Strong excitation effect of excitonic magnetic polarons in CdMnTc"Phys. Stat. Sol. (b). 229. 757-760 (2002)