2000 Fiscal Year Annual Research Report
X線による半導体表面における長距離の格子緩和の研究
Project/Area Number |
12440086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋本 晃一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40262852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 貴志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70314044)
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Keywords | 表面 / X線 / 格子緩和 / 再構成構造 / 動力学的回折理論 / シンクロトロン放射光 |
Research Abstract |
結晶表面がバルクと大きく異なっている構造的な特徴として、面内の表面再配列構造と同時に表面垂直方向の表面格子緩和があげられる。表面再配列構造については多くの研究が既になされているが、表面格子緩和についてはそれほど多くの報告があるわけではない。従来、実験的には主に低速電子回折法(LEED)により研究が進められている。その結果、表面格子緩和は表面から5,6層まで及んでいるとされている。しかし実験的にはLEEDの電子線の侵入深さがその程度であるからであるし、理論的な計算では計算の精度がごく微小な格子歪みを論じるまでには至っていないからであろう。実際、バルクの結晶中では,1本の転位線の影響による格子歪みは微小ではあるが数μmにまで及ぶことが知られている。 本年度は表面格子緩和が表面からどのくらい長距離の深さまで及んでいるか、またどの程度の変位であるかを、Si(111)7×7構造、Si(111)√3-Ag構造及びSi(111)√3-Al構造について研究した。実験は文部省高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設に設置した超高真空装置を用いて行った。X線をすれすれに入射する条件での極端に非対称な311反射を用いたX線回折法により回折強度を測定し、測定結果をDarwin流のX線の動力学的回折理論による計算と比較し定量化した。その結果、測定した全ての系で、格子緩和は10nm〜30nmの深さに及び、表面での最大格子歪は0.5%〜2.5%程度で表面垂直方向に格子が縮んでいることがわかった。その中で特に√3-Agの場合に格子緩和の大きさも深さも大きな値となっていることがわかった。
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