2002 Fiscal Year Annual Research Report
X線による半導体表面における長距離の格子緩和の研究
Project/Area Number |
12440086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋本 晃一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40262852)
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Keywords | 表面 / X線 / 格子緩和 / 再構成表面 / 動力学的回折理論 / シンクロトロン放射光 |
Research Abstract |
表面近傍の応力は表面再構成や薄膜成長に影響を与えると考えられている。しかし、特に半導体再構成表面における応力測定の研究はそれほど多くはない。これまで、高精度な実験的な評価手法としては、光学的なウエハ湾曲測定や電子顕微鏡を用いた解析などが数例報告されているに過ぎない。本研究では、シリコン清浄表面であるSi(111)-(7×7)表面およびAl、Ag吸着によるSi(111)-(√3×√3)表面について、その格子緩和を極端に非対称なX線回折法により定量的に評価した。その結果、その結果、測定した全ての系で、格子緩和は10〜30nmの深さに及び、表面での最大格子歪は0.5%〜2.5%程度で表面垂直方向に格子が縮んでいることがわかった。その中で特に√3-Agの場合に格子緩和の大きさも深さも大きな値となっていることがわかった。 ところで、半導体デバイス中には膨大な数のヘテロ接合界面がある。このような界面においては成長膜間で応力が生じている。そして、界面近傍の結晶構成原子はバルクに比べて微小な変位を起こしていると考えられる。この微小な結晶の歪みは、キャリアの移動度変化などを引き起こし、デバイス特性に影響を与え得る。こういった意味で、ヘテロ接合界面構造の応力評価法の確立が急がれている。本年度は、これまでの研究で完成させた表面界面の格子緩和の研究手法を、より産業上重要な界面にも適用した。次世代のMOSデバイスのゲート絶縁膜と考えられている高誘電率絶縁膜とシリコンの界面、電気自動車には欠くことのできない耐電圧デバイスのためのSiO2とシリコンカーバイド界面、半導体レーザーの端面劣化に関係するAl2O3とGaAs界面に関して研究を進め、試料作製条件と格子緩和に一定の関連があることを明らかにした。これらの研究はいずれも、科研費による本研究の研究成果がいち早く産業界に注目され、共同研究として結実したものである。
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[Publications] T.Emoto: "Strain due to nickel diffusion beneath hydrogen-terminated Si(111) surface"Applied Surface Science. 190. 113-120 (2002)
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[Publications] 榎本 貴志: "極端に非対称なX線回折法を用いた半導体表面の格子緩和の研究"表面科学. 23・4. 239-247 (2002)