2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12440090
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
出口 潔 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (10033911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 将一 大阪大学, 極限科学研究センター, 教授 (10001843)
徳永 正晴 北海道大学, 理学研究科, 教授 (60001682)
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Keywords | 強誘電体 / 水素結合 / 高圧 / 量子常誘電性 / 同位元素効果 |
Research Abstract |
水素結合型強誘電体における水素結合の役割に関する理解がここ10年ほどの間に飛躍的に進んでいる。この間、従来常識とされていた事柄、例えばプロトンダイナミックスに対する量子力学的取り扱い方などが次々と覆され、それに変わる考え方や概念の構築が進められている。本研究は、超高圧・極低温における水素結合型結晶の相転移現象の研究を通して、その発展の一端を担うことを目的としている。 現在、KH_2PO_4(KDP)およびKD_2PO_4(DKDP),LiTlC_4H_4O_6・H_2O(LTT)およびLiTlC_4H_4O_6・D_2O(DLTT)の2系統4種類の結晶に的を絞って研究を進めている。現在までに、次のような点が明らかになっている。 1.KH_2PO_4(KDP)およびKD_2PO_4(DKDP) (1)圧力の増加と共に、相転移機構が「秩序-無秩序型」から「変位型」へと移行する。 (2)相転移機構が「変位型」へ移行する環境下では、ソフト・モードの挙動に量子効果の影響が顕著になり、いわゆる量子常誘電性が発現する。 2.LiTlC_4H_4O_6・H_2O(LTT)およびLiTlC_4H_4O_6・D_2O(DLTT) (1)重水素置換率の増加と共に強誘電性相転移温度が低下し、重水素置換率100%付近で相転移が消失する。この相転移消失に際して、Curie定数は変化しない。 (2)LTTにおける相転移消失現象は、ソフト・モードの存在つまり変位型相転移機構の概念の枠内で説明可能である。 2年目にあたる平成13年度は、次の2点を重点的に取り上げていく予定である。 1.水素結合型結晶における量子常誘電性発現のメカニズムを解明する。 2.比較対照すべきデータを得るために、典型的な秩序-無秩序型強誘電体である (NH_2CH_2COOH)_3H_2SO_4(TGS)および典型的な変位型強誘電体であるSbSIの高圧物性の研究を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Deguchi: "Effects of Deuteration on Displacive-Type Ferroelectric Phase Transition of LiTlC_4H_4O_6・H_2O."Journal of the Physical Society of Japan. Vol.69,No.1. 135-138 (2000)
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[Publications] M.Tokunaga: "Vanishing of Order-Disorder Type Phase Transition in DKDP at High Pressure."Ferroelectrics. Vol.237. 169-176 (2000)
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[Publications] 遠藤将一: "水素結合型強誘電体KH_2PO_4とKD_2PO_4の圧力効果"高圧力の科学と技術(日本高圧力学会誌). 10巻・第1号. 12-17 (2000)
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[Publications] 遠藤将一: "圧力誘起相転移"固体物理. 35巻. 715-722 (2000)