2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30170773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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Keywords | ウラン化合物 / 重い電子系 / 超伝導 / 磁気励起子 / UPd_2Al_3 / UNi_2Ai_3 / UGe_2 |
Research Abstract |
本研究課題で対象としていた主要なウラン超伝導化合物はUPd_2Al_3とUNi_2Al_3であったが、研究遂行中に、UGe_2という極めて興味ある物質が発見・報告されたため、これをも研究対象に含めた。今年度、これら全てについて以下のような成果を得ることができた。 1.UPd_2Al_3 UPd_2Al_3は反強磁性と超伝導が共存する典型化合物であり、本研究課題の中心的物質である。その超伝導のメカニズムに対して、磁気励起子が超伝導引力相互作用を媒介していることを示すことに成功した。これは、局在磁気モーメントが超伝導ペアー相互作用を媒介するというものであり、これまでにない全く新しいタイプのものである。この成果はNature誌に掲載され、また、新聞報道も為された。また、超強磁場下における比熱および磁化の測定を行い、磁気相図を完成させた。これにより、UPd_2Al_3の5f電子の状態を温度・磁場の関数として決定した。 2.UNi_2Al_3 UPd_2Al_3と同型の結晶構造を持ち、また、反強磁性と超伝導の共存を示すUNi_2Al_3も実に興味ある化合物である。これに対し、反強磁性秩序状態における磁気構造を完全に決定した。また、この磁気構造が超伝導転移に際し変化しないことも明らかにした。 3.UGe_2 上記2物質と同様に、磁性と超伝導のいずれもウラン原子の5f電子によって担われていると考えられている。本質的に異なるのは、超伝導と共存するのは反強磁性ではなく、強磁性である点である。このような物質は未だかつて発見されたことはなく、現在、世界的なトピックスとなっている。しかし、良質の(単)結晶でのみ超伝導が発現するとされ、また、10キロバール以上の極めて高い圧力下でのみ超伝導が観測されるため、この研究を行っているグループは世界的にみてもごく少数である。我々はこれらの困難な実験条件を全てクリアーし、次のことを明らかにした。即ち、強磁性も超伝導も空間的に一様ではなく、相分離している可能性がある。次年度は、これを中性子散乱実験等のミクロな実験手段を用い、より詳細な研究を進めていく予定である。
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[Publications] N.K.Sato, N.Aso, K.Miyake, R.Shiina, P.Thalmeier et al.: "Strong coupling between local moments and superconducting'heavy'electrons in UPd_2Al_3"Nature. 410. 340-343 (2001)
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[Publications] K.Miyake, N.K.Sato: "Unconventional Cooper pairing in the superconducting state of UPd_2Al_3"Phys. Rev. B. 63. 052508-1-2 (2001)
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[Publications] A.Hiess, P.J.Brown, E.Lelievre-Berna, N.Aso, N.K.Sato et al.: "Spherical neutron polarimetry of the magnetic structure in UNi_2Al_3"Phys. Rev. B. 64. 134413-1-4 (2001)
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[Publications] J.S.Kim, N.K.Sato, G.R.Stewart: "Specific heat near H_<metamag>=18T in UPd_2Al_3"J.Low Temp. Phys.. 124. 527-535 (2001)
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[Publications] G.Motoyama, S.Nakamura, H.Kadoya, T.Nishioka, N.K.Sato: "Possible competitive coexistence of ferromagnetism and superconductivity in UGe_2"Phys. Rev. B. 65. 020510(R) (2001)
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[Publications] T.Sakon, T.Namiki, N.K.Sato, T.Komatsubara, M.Motokawa: "Magnetization of UPd_2Al_3 in the ultra-low temperature and high magnetic fields"J. Magn. Magn. Mater.. 226-230. 75-76 (2001)