2000 Fiscal Year Annual Research Report
パルス強磁場と超高圧及び極低温を組み合わせた磁化測定法の開発
Project/Area Number |
12440102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金道 浩一 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (20205058)
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Keywords | パルス強磁場 / 超高圧 / 極低温 / 磁化測定 / 希釈冷凍機 |
Research Abstract |
本年度の研究ではパルス強磁場の発生に大きな進展があった。これまで発生された非破壊パルス磁場の記録は80.3T、そのパルス幅は約8ミリ秒であった。本年度、マグネットの多層化を進め、内部補強を行ったことによって最高磁場を80.8Tまでのばすことが出来た。また、パルス幅も約25ミリ秒と大幅に長くなり、金属製の高圧セルとの組み合わせがより行いやすくなった。そして、この方式を希釈冷凍機と組み合わせたマグネットに導入したところ74.5Tの磁場を発生した。これにより、60mKの極低温下で磁化測定を70Tまで行うための条件がクリアできる見通しが立った。また、本補助金で購入した希釈冷凍器用クライオスタットの内部に改良型の磁化測定用ピックアップコイルを取りつけた。従来型では、コイルを広い空間にわたって設置しなければならなかったために磁場の不均一生がデータに現れ、検出時のダイナミックレンジを上げることが不可能であった。改良型は、コイルをよりコンパクトにすることでダイナミックレンジの上昇を目指すものであり、次年度にテストを行う。もう一つの課題である高圧下の磁化測定への磁場のロングパルス化による影響を調べるために、様々なパルス幅での測定を行ったところ、次のような問題点が明らかとなった。ロングパルスを使えば、渦電流が小さくなるためにノイズは減少して美しいデータが取れるものの、磁場発生中に発熱が試料に伝わり、測定温度を低温に保っておくことが困難であり、ショートパルスであれば、試料温度が上昇しない代わりにデータ自身はノイズを多く含んでしまう点である。これは、金属製の高圧セルを非金属にすることでしか解決できない問題であり、セラミクスを利用したセルを計画中である。また、本計画を遂行する過程で得られた技術を応用することにより、次年度には85Tまでの磁場を発生する予定である。
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