2001 Fiscal Year Annual Research Report
ハルデン系物質Ln_2BaNiO_5(Ln:希土類元素)のドーピング効果と磁気励起
Project/Area Number |
12440105
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
秋光 純 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80013522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
銭谷 勇磁 青山学院大学, 理工学部, 助手 (50327285)
菊池 淳 東京理科大学, 理工学部, 助手 (90297614)
元屋 清一郎 東京理科大学, 理工学部, 教授 (60114683)
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Keywords | ハルデン系 / 一重項状態 / 一次元系 / 磁気励起 |
Research Abstract |
(1)ランタノイドイオンによって与えられる有効な磁場を受けたHaldane鎖の磁気励起 これまでにHaldane系として知られているY_2BaNiO_5に微量のNd兀素を置換することによってHaldane鎖に局所的な磁場を印加した結果、反強磁性転移は分子場で記述できず、Haldane鎖内の相関に支配されて出現することが明らかになった。しかしながら、単結晶育成の困難さからこれ以上の結果は得られていない。したがって、今後も物性測定に耐えうる単結晶育成を目指す。 (2)Haldane系にドープされたホールの物性 本研究では、ホールドープされたHaldane鎖の動的なスピン構造を解明することを目的とした。そこで中性子非弾性散乱実験に耐えうる試料を得るために、フローティングゾーン法によるNd_<2-x>Ca_xBaNiO_5大型単結晶の育成を試みた。その結果、約100mm程度の棒状の大型単結晶を得ることに成功し、本年度から本格的な物性測定を行うことが出来た。 輸送現象の立場から見ると、軸の異方性からキャリヤが一次元鎖内の導入されていることは明らかであるが、その振る舞いは半導体的で金属的な振る舞いを示さなかった。 中性子非弾性散乱実験ではT_N以上の領域でホールドーピングに伴ったスピン変調に対応するピークが観測されている。このピークは比較的高温で測定したために明確なピークとして確認されていないが、ホール濃度の異なる試料との比較の結果、ホール濃度の増加と共にダンプする傾向が観測された。また、ガウス関数を用いたフィティングによって見積もったインコメンシュラビリティεはY_<2-x>Ca_xBaNiO_5で観測されたものより大きい値が得られている。さらに注目すべき結果は、T_N以下の10meV付近にこれまで観測されていないスペクトルを観測したことである。このスペクトルが何に起因しているモードなのかは明らかになっていないが、ホール濃度に依存し、一次元鎖方向にHaldaneモードと異なる分散関係を持っていることが確認できている。 今後は中性子実験のみならず、NMRからもスピン液体のおけるホールが作り出す磁気相関の検証を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Ohta, S.Okubo, T.Sakuria, T.Goto, K.Kirit, K.Ueda, Y.Uwatoko, T.Saito, M.Azuma, M.Thkano, J.Akimitsu: "High-frequency ESR measurements using pulsed magnetic fields in Kobe"Physica B. Vol.294-295. 624-629 (2001)
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[Publications] S.Okubo, T.Yamada, H.Ohta, T.Yokoo, J.Akimitsu, H.Noijiri, M.Motokawa: "High-field AFMR measurements of Nd_2BaNiO_5 single crystal in the submillimeter wave region"Physica B. Vol.294-295. 51-54 (2001)
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[Publications] R.Kadono, W.Higemoto, A.Koda, K.0hishi, T.Yokoo, J.Akimitsu, M.Hedo, Y.Inada, Y.Onuki, E.Yamamoto, Y.Haga: "Possible nodal vortex state in CeRu_2"Phys. Rev. B. Vol.63. 224520-1-224520-16 (2001)
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[Publications] M.Sera, H.Ichikawa, T.Yokoo, J.Akimitsu, M.Nishi, K.Kakurai, S.Kunii: "Anomalous Temperature Dependence of the Magnetic Field Induced Antiferromagnetic Moment in the Antiferroquadrupolar Orderd State of CeB_6"Phys. Rev. Lett.. Vol.86, No.8. 1578-1581 (2001)
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[Publications] 秋光 純: "RuSr_2RECu_2O_8(RE=Sm, Eu, Gd, Y)における超伝導と磁性の共存"固体物理. Vol.36, No.7. 413-418 (2001)
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[Publications] J.Akimitsu, K.Takenawa, K.Suzuki, H.Harima, Y.Kuramoto: "High-Temperature Ferromagnetism in CaB_2C_2"Science. Vol.293. 1125-1127 (2001)