2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12440111
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
井元 信之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (00313479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小芦 雅斗 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (90322099)
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Keywords | 量子情報処理 / エンタングルメント / 量子演算 / 線形光学量子演算 / 量子コンピューティング / デコヒーレンス / 2光子干渉 / 4光子干渉 |
Research Abstract |
量子惰報処理研究は「どのような情報処理が量子力学で実現できるか?」という研究と「それに必要となる物理および要素技術は何か?」という研究がある。本研究では前者は理論研究として、後者は理論および実験研究として進めた。 【線形素子による量子情報処理の可能性追求(理論)】 量子コンピューティングに欠かせない「制御NOT素子」の実現には、非現実的なほど強大な非線形性が必要と従来考えられて来た。しかし確率的実行でよいならば(もちろん成功を知らせる信号は付随しなければならないが)、線形素子でも実行可能なものがあることが本研究の結果わかった(Phys. Rev. A65, 030301→これはKnoll等のNature論文とともにpioneerimg worksとして並列引用されることが多くなった)。また、これに属する別の例として、線形素子だけでエンタングルメントの度合いを増強する方法のオリジナルな提案(Phys. Rev, A64, 012304)を行った。 一方、Barnett氏発案の「Quantum Scissors Device」(量子状態の加工・整形・テレポーテーションに用いられる)について、実験系の現実的制約・雑音・光損失を考慮した理論を構築した。その結果、今日のテクノロジーでも忠実度90%程度の実験は行えることを明らかにした(Phys. Rev. A64, 063818)。 【4光子干渉実験】 上記提案の実証実験のためには、まず量低限1ペア(すなわち2つの光子)がエンタングルしたものを発生する必要があるが、まずその発生および2光子干渉実験を行った。その結果約98%の高いvisibiltyが達成できた。これ自体は驚くべき実験というわけではないが、上記「エンタングルメント増強」および「制御NOT素子」の実現のためには、さらに同時に発生する2つのペア(すなわち合計4つの光子)がエンタングルしたものを発生する必要がある。この発生実験は現在世界でも2ヶ所でしか成功していない。本研究ではその発生および4光子干渉を観測するに至った(2002年春物理学会発表)。大学に移籍して実験装置のない状態からここまで持って来れたのは、本研究助成に依るところが少なくなかった。 【量子エンタングルメントに関する理論】 2体間のエンタングルメントに比べて未だ不明の点が多い多体間のエンタングルメントについて、それを発生するための量子ドット系の提案を行った(Phys. Rev. A65, 023805/同A65 0423XX掲載決定)。それにより現実にある相互作用により最大に近いエンタングルメントが得られることがわかった(Phys. Rev. A65, 0642314)。また多体の最大エンタングル状態にどれだけ近いかを見積もるために必要な則定についての提案およびその分類に関する理論構築を行った。また、巨視的状態の重ね合わせに関する状態表示の方法としてWehrlエントロピーの有効性を理論的に明らかにした(J.Phys. A34, 1)。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Yu-Xi Lin, S.K.Ozdemir, M.Koashi, N.Imoto: "Dynamics of entanglement for coherent excitionic states in a system of two coupled quantum dots and cavity QED"Physical Revien A. 65. 0423XX1-0423XX7 (2002)
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[Publications] K.Nagata, M.Koashi, N.Imoto: "Observable suitable for restricting fidelity to maltiparticle maximally entangled states"Physical Review A. 65. 0423141-0423145 (2002)
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[Publications] Yu-xi Liu, N.Imoto, S.K.Ozdemir, Guang-ri Jin C.P.Sun: "Semiconductor-cavity QED in high-Qregimes : Detuning effect"Physical Review A. 65. 0238051-0238057 (2002)
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[Publications] M.Koashi, T.Yamamoto, N.Imoto: "Probabilistic manipulation of entangled photons Phys. Rev. A63, 030301-1-4(2001)"Physical Review A. 63. 0303011-0303014 (2001)
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[Publications] T.Yamamoto, M.Koashi, N.Imoto: "Concentration and purification scheme for two partially entangled photon Phys. Rev. A64, 012304-1-8(2001)"Physical Review A. 64. 0123041-0123048 (2001)
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[Publications] S.K.Ozdemir, A.Miranowicz, M.Koashi, N.Imoto: "Quantum-scissors device for optical state truncation : A proposal for practical realization"Physical Review A. 64. 0638181-06381811 (2001)
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[Publications] A.Miranowicz, J.Bajer, M.R.B.Wahiddin, N.Imoto: "Wehrl infrmation entropy and phase distributions of macroscopic quantum superpositions"J. of Physics A. 34. 1-10 (2001)
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[Publications] M.Evans編/A.Miranowicz, J.Bajer, M.Koashi, N.Imoto: "Contemporary Optics and Electronics/「Photon bunching and antibunching effects in non-stationary fields」"J.Wiley and Sons, New York. 13 (2001)
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[Publications] M.Evans編/A.Miranowicz, W.Leonski, N.Imoto: "Contemporary Optics and Electronics/「Quantum-optical states in finite-deimensional Hilbert space. I. State generation」"J.Wiley and Sons, New York. 39 (2001)
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[Publications] 櫛田孝司編/井元信之: "丸善実験物理学講座第9巻「レーザー測定」/量子非破壊測定"丸善. 11 (2000)