2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440114
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 助教授 (60201612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田島 仁司 富山大学, 理学部, 助教授
梶田 雅棯 郵政省, 通信総合研究所・標準計測部, 主任研究官
森脇 喜紀 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (90270470)
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Keywords | トラッピング / シュタルク効果 / レーザーアゴレーション / 勾配力 / 結晶析出 |
Research Abstract |
本研究は、電場によって中性分子を空間に捕捉する新技術の確立を目指すものである。今年度は、理論計算による実験対象分子種の絞込みと、分子源と緩衝ガス冷却用の装置の開発、またレーザー光電場による液相中での結晶粒の捕捉実験を行った。 1.四重極静電場中の直線極性分子の運動を理論的に解析した。量子計算により、NaCl,LiIなどのアルカリハライド分子に対して温度換算で数百mKの深さのトラップポテンシャルが形成されることが明らかになった。分子の角運動量が電場の向きの変化に追従できないことにより生じる重心運動の軌道不安定性について、古典モデルによる解析を行い、上記ポテンシャル中では軌道不安定性が生じないことを確認した。 2.捕捉分子対象であるLiIを生成するために、Nd:YAGレーザーによるLiI結晶のレーザーアブレーションを行った。アブレーション直後の発光スペクトルを測定し、LiI分子生成の最適条件を検討した。また、生成された分子をHeガスとの衝突により300mKまで冷却するためのクライオスタット、内挿用^3Heクライオスタットを製作した。 3.明礬の飽和溶液中にレーザー光を照射し、析出する微結晶を2次元的に捕捉することに成功した。ビーム中に集められた結晶は球形をしており、電子線回折の結果から多結晶であることがわかる。レーザー電場による勾配力で析出途中の微小な単結晶がビーム中心に集められ、お互いに結合することで多結晶粒になったと考えられる。これは、レーザー捕捉が結晶成長の制御に利用できることを示唆する新しい成果である。
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