2002 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸塩メルト(マグマ)の高温高圧下その場X線構造解析
Project/Area Number |
12440117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船守 展正 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70306851)
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Keywords | ケイ酸塩メルト / 高温高圧下X線回折 / 構造 / CaSiO_3 |
Research Abstract |
本年度は、高エネルギー加速器研究機構の放射光共同利用実験「CaSiO_3メルトの構造の圧力変化」(課題番号:2002G048、代表者:船守展正)として、高温高圧下におけるケイ酸塩メルトのX線回折構造測定実験を開始した。昨年度までに行った技術開発の結果、CaSiO_3組成のメルトを1.5. 6.0万気圧、1960. 2130Kの高温高圧状態に保持し、従来の約1/10の短時間(20. 60分程度)で構造因子を測定することに成功した。測定された構造因子および構造因子から計算される二体分布関数を1気圧の文献データと比較したところ、すでに15万気圧・1960Kの低圧領域で大きく構造が変化しており、その後の変化は比較的小さいことが示唆された。低圧領域での大きな変化が文献との装置の違いに起因する系統誤差か否かを明らかにするため、CaSiO_3メルトの測定に使用した装置を用いて、SiO_2ガラスの構造因子を測定した。得られた構造因子と一体分布関数は文献データ(1気圧におけるCaSiO_3メルトを測定したグループによるSiO_2ガラスのデータ)と極めて良い一致を示した。従って、実際にCaSiO_3メルトは低圧領域で大きく構造を変化させている可能性が高い。変化の詳細については、現在、MD理論計算やCaSiO_3ガラスに関する各種実験結果等を考慮して検討を行っている。今後、測定可能な温度圧力範囲の拡大を図るとともに、MgSiO_3など他の組成のメルトに対する測定を行う予定である。
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