2002 Fiscal Year Annual Research Report
南ベトナム,メコンデルタの後期更新世〜完新世形成過程
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12440133
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
立石 雅昭 新潟大学, 理学部, 教授 (00126426)
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Keywords | メコンデルタ / 浜堤列平野 / 砂丘砂 / OSL年代 / 鉱物組成 / 音響探査 / 不整合 |
Research Abstract |
メコンデルタの下部は浜堤列平野の発達で特徴づけられる. 前年度までに進めてきた成果を引き継ぎ、本年はこの下部デルタを特徴づける浜堤列平野の発達過程についての地形学的解析とともに、浜堤列を構成する砂丘砂の堆積学的、年代学的研究、並びにメコン川と水路に於けるユニブームによる音響探査を実施した。 浜堤列を構成するおよそ8列の砂丘列は基本的には現在の河岸に平行に成長している列と、海岸に平行に成長している列とが認められる.すべての砂丘列は西方に分岐し、南東〜東からの風が卓越する雨期の季節風によるものと考えられる。前者はTra Vinh市南部で収斂している.OSL年代では前者はおよそ4000年前後、後者は2000年より新しい年代値を示す.鉱物組成上も両者は識別され、その後背地の条件が変化したことを伺わせる.年代的に欠落するやや寒冷な時期の南シナ海の自然条件の変化の具体的な内容を知るためには、より広域的な解析が必要である・ およそ700kmに及ぶメコン川と人工的水路に沿った音響探査では、上部更新統中に明瞭な不整合が広域的に認められた。この断面と近辺における陸上での掘削コアの年代測定との比較から、これらの不整合は最終氷期における海面低下期に形成された陸上浸食に伴う不整合であり、その後の温暖化に伴う海面上昇・海進に伴って、上位の堆積物が谷埋めの後、前進しながらデルタを形成してきた過程が明らかにされた。浸食谷を埋め立てたところではこの上位の上部更新統〜完新統は厚さ70mに達する.平坦な浸食面を埋めたところでは、その厚さはおよそ20〜40mである。 引き続き、メコンデルタの水質資源開発に関する調査を継続する予定である。
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[Publications] Ta Thi Kim Oanh: "Sediment facies and Late Holocene progradation of the Mekong River Delta in Bentre Province, southern Vietnam: an example of evolution from a tide-dominated to a tide-and wave-dominated delta"Sedimentary Geology. 152. 313-325 (2002)
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[Publications] Ta Thi Kim Oanh: "Holocene delta evolution and sediment discharge of the Mekong River, southern Vietnam"Quaternay Science Review. 21. 1807-1819 (2002)
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[Publications] Tanabe Susumu: "Delta evolution model inferred from the Holocene Mekong Delta, Southern Vietnam"Society of Economic Paleontologists and Mineralogists, Special Pub.. (In press).