2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440134
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周藤 賢治 新潟大学, 理学部, 教授 (50143748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 俊昭 新潟大学, 理学部, 助教授 (70242451)
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Keywords | アダカイト / バハイト / アルカリ玄武岩 / 中新世 / 漸新世 / 北海道 |
Research Abstract |
本科学研究費によって,北部北海道の興部地域(オホーツク海側)と奥尻島(日本海側)の第三紀火山岩の岩石学的研究が行われた.その概要は以下に示すとおりである. 【興部地域の火山岩の研究】オホーツク海側の興部地域には10Ma前後に活動した火山岩と堆積岩が分布し,これらの野外調査に基づき地質図を作成し,構成岩の記載岩石学を行った.豊野層の安山岩は普通角閃石安山岩からなり,化学組成上はSr/Y比が著しく高く,Y含有量に乏しいアダカイト質安山岩の特徴を有する.また,豊野層の直上に産する安山岩はMgOに富むことから,高マグネシア安山岩に相当する.北海道の第三紀火山岩からアダカイト質安山岩・高マグネシア安山岩の組合せのからなる岩石の産出は始めてである.興部の約20km北方にはアイスランド岩様の安山岩も産出するので,これらの安山岩全体の成因的研究は,北海道の第三紀の火山活動の解明にとって,きわめて重要性を増してきたといえる. 【奥尻島の火山岩の研究】奥尻島南部の地質調査,及び構成岩類の岩石学的研究を実施した.火山活動の時代は漸新世〜前期中新世である.漸新世の松江玄武岩はSr/Y比が高く,Y含有量に乏しいバハイト質のもであることが判明した.これに伴ってアルカリ玄武岩も産出することが明らかにされた.松江玄武岩よりも上位の酸性火山岩中にも松江玄武岩と同様なバハイト質の玄武岩質安山岩が産出する.これらの玄武岩は,沈み込む海洋地殻の部分溶融によって生成された酸性マグマとマントルとの反応によってに生成された可能性があり,今後,詳細な研究によってこのことを明らかにする必要がある.
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