2001 Fiscal Year Annual Research Report
比較形態学・解剖学的資料に基づくアンモノイド類の起源と系統の解析
Project/Area Number |
12440141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 晴良 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10181588)
重田 康成 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官(研究職) (30270408)
佐々木 猛智 総合研究博物館, 助手 (70313195)
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Keywords | 軟体動物 / 頭足類 / アンモノイド類 / 比較解剖学 / 比較発生学 / 系統分類 |
Research Abstract |
1.比較解剖学的研究 棚部は海外研究者と協力して、北海道および米国内陸部産の標本に基づき、白亜紀アンモノイド類の顎形態の特徴を記載し、その比較解剖学・系統分類学上の意義を考察した(Tanabe & Landman, 2001)。また、米国オクラホマ州の石炭系から産した例外的に保存のよい頭足類の口球部を記載するとともに、それがアンモノイド類のものであることを明らかにした(Tanabe, Mapes and Kidder, 2001)。 2.比較発生学的研究 棚部は海外研究者と協力して、米国カンザス州の石炭系から産したゴニアタイト目アンモノイドVidriocerasの胚殻の表面装飾と腹側の彫刻を電子顕微鏡を用いて詳細に観察記載し、その発生学・系統学的意義を考察した(Tanabe, Kulicki, Landman & Mapes, 2001)。 3.系統分類学的研究 重田は、ロシア沿海州および米国各地から産した後期古生代アンモノイド類の胚殻内部構造を比較検討し、セラタイト目の起源がプロレカニテス目に由来するという結論を得た(Shigeta et al., 2001)。また、棚部は、最近のアンモノイド類の系統分類に関する最新の研究成果をレビューし、今後の研究の展望を示した(棚部、2001)。 このほか、棚部は、米国カルフォルニア州およびサウスダコタ州の海成上部白亜系を、また重田と前田は、ロシア沿海州のトリアス系を地質調査し、系統分類学的研究に用いる保存のよいアンモノイド類化石を採集した。これらの標本類は、すでに整形作業を完了し、外部形態と殻体内部構造を詳細に検討しつつある。さらに、佐々木は、主として現生頭足類の軟体部の比較解剖学的特徴を調べ、解剖学的視点からアンモノイド類の系統上の位置を考究中である。なお、今年度に得られた研究成果は別紙に記した論文・著書に公表したほか、2001年6月に開催された日本古生物学会2001年年会ミレニアムシンポジウム「軟体動物系統分類学の展望を探る:世話人 棚部一成・加瀬友喜・佐々木猛智」で棚部と佐々木が発表した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tanabe, K., Kulicki, C., Landman, N.H., Mapes, R.H.: "External features of embryonic and early postembryonic shells of a Carboniferous goniatite Vidrioceras from Kansas"Paleontological Research. Vol.5, no.1. 13-19 (2001)
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[Publications] Tanabe, K., Landman, N.H.: "Morphological diversity of the jaws of Cretaceous Ammonoidea"Abhandlungen der Geologischen Bundesanstalt. Vol.57. 157-165 (2001)
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[Publications] Tanabe, K., Mapes, R.H., Kidder, D.M.: "A phosphatized cephalopod mouthpart from the Upper Pennsylvanian of Oklahoma, U.S.A."Paleontological Research. Vol.5, no.4. 311-318 (2001)
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[Publications] Landman, N.H., Bizzarini, F., Tanabe, K., Mapes, R.H., Kulicki, C.: "Micro-ornamentation on the embryonic and postembryonic shells of Triassic ceratites (Ammonoidea)."American Malacological Bulletin. Vol.16, nos.1/2. 1-12 (2001)
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[Publications] 棚部 一成: "アンモノイド類の系統進化学的研究"学術月報. 54巻12号. 28-31 (2001)
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[Publications] Shigeta, Y., Zakharov, Y.D., Mapes, R.H.: "Origin of the Ceratitida (Ammonoidea) inferred from the early internal shell features"Paleontological Research. Vol.5, no.1. 201-213 (2001)
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[Publications] 重田 康成: "アンモナイト学-絶滅生物の知・形・美-"東海大学出版会. 155 (2001)