2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440142
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 誠一郎 名古屋大学, 理学研究科, 助教授 (50230967)
渡部 直樹 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50271531)
荒川 政彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222738)
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Keywords | 有機質星間塵 / 衝突 / 付着成長 / 原始太陽系星雲 |
Research Abstract |
本研究では,鉱物の微粒子表面に存在する有機物が粒子の成長過程に与える影響を実験的に評価し,それをもとに原始太陽系での有機物粒子の成長過程を議論することが目的である. 本年度は,以下のような研究を行った. 1)モデル始源有機物の作製 私たちは有機質星間塵を直接手にすることができないので,アナログ物質を作製し,それを用いて衝突付着実験を行うことにした.有機質星間塵のアナログ物質は,シミュレーション実験の化学分析データを参考にし,できるだけそれらに忠実になるように試薬を用いて調製した. 2)モデル始源有機物の衝突付着実験 直径1cmの銅球を銅板上のモデル始源有機物の層に衝突させる.銅球およびモデル始源有機物の温度は200〜500Kとする.このような実験で,有機物に覆われた固体微粒子が衝突する際に,付着が起きる臨界速度の温度依存性を調べた. 付着臨界速度は温度が下がるにつれて増加し,250K付近で最大5m/sに達する.さらに温度が下がると,付着臨界速度は減少する.mmサイズの他の物質では,鉱物の場合は0.15m/sの衝突速度でも,氷の場合は0.015cm/sの衝突速度でも付着は観測されていない.したがって,mmサイズの有機質星間塵は,氷や鉱物より数桁も大きな数m/sの衝突速度でも付着すると結論できる.この結果から,原始太陽系星雲で有機物が星間塵表面に存在した領域では,星雲が乱流状態になっている時でも,星間塵やそれらの集合体の成長が急速に進んだと結論された.
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[Publications] 香内晃: "有機質星間塵の惑星系形成への影響-小惑星,隕石起源論の残された謎に迫る-"日本惑星科学会誌. 10(印刷中). (2001)
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[Publications] Kudo T: "Effect of organic matter on the dust cosagulation"Lunar Planet.Sci.Conf.. XXXII(in press). (2001)
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[Publications] Nakano H.: "Evaporation metamorphism of interstellar organic materials and its implications for the origin of organic materials in carbonaceous chondrites"Lunar Planet.Sci.Conf.. XXXII(in press). (2001)
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[Publications] Kouchi A.: "Crystallization Heat of Impure Amorphous H_2O Ice"Geophys.Res.Lett. 28. 827-830 (2001)
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[Publications] Arakawa, M.: "Impact cratering of granular mixture targets made of H_2O ice-CO_2 ice-pyrophylite"Planetary and Space Science. 48. 1437-1446 (2000)
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[Publications] Watanabe N.: "Measurements of D_2 yields from amorphous D_2O ice by ultraviolet irradiation at 12 K"Astrophys.J.. 541. 772-778 (2000)