2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440144
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梶原 良道 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80015578)
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Keywords | 地球環境史 / 鉱床生成史 / 生物大量絶滅境界 / 層準規制型鉱床 / 海洋無酸素事変(OAE) / 硫黄同位体地球化学 / 硫黄同位体層序学 / 炭酸塩構造置換態硫酸 |
Research Abstract |
古生代末大量絶滅期の環境復元に関する共同プロジェクトを継続し、中国及びハンガリーのP/T境界セクションの硫黄同立体地球化学的比較研究を行った。その結果、両セクションのP/T境界から炭酸塩構造置換態硫酸の同位体比の顕著な負シフトを共通に検出するとともに、硫化物の見かけ同位体分別度の変動から長期にわたる無酸素環境の継続と一時的富酸素化エピソードを復元した。下位のG/L境界においても同様の同位体変動様式を見出した。これらは、既に公表提起した古生代末カタストロフィズム説(天体衝突による著量のマントル硫黄の放出とそれによる水圏酸性化及び大気酸素レベルの低下)を補強する成果である。また、本邦太平洋岸で採取した現世生物(珊瑚・二枚貝・ウニ)を対象に炭酸塩構造置換態硫酸の濃度と同位体比の分布を検討し、生物源炭酸塩中の微量構造置換態硫酸が海水と等価な同位体的性質を有していることを実証するとともに、石炭紀バシュキリアンの珊瑚質石灰岩中の硫酸態汲び硫化物態硫黄の分離同立体分析を行い、同時代の古海水硫酸同位体比及び富酸素的埋没堆積盆水系の復元に成功した。これらは硫黄同位体層序学及び硫黄同位体古環境解析学の有効性を保証する基礎的情報である。更に、東北日本グリンタフ地域の中新世泥岩を対象に、硫化物硫黄同位体比と生痕化石及び底棲有孔虫群集との時空分布関係を総合的に解析した。その結果、硫黄同位体比から推定される堆積盆酸化還元環境が生物相の変化と見事に対応していることを実証するとともに、黒鉱鉱床の生成期が当時の古日本海に生起したユニークな海洋無酸素事変の出現期に一致していることを見出した。これは、著者が主張している新しい鉱床成因論体系「金属鉱床生物有機源環境規制モデル:黒鉱-石油同源説(PUMOS理論)」が要請する基本的条件の一つを満足せしめる重要な成果である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Komuro, K.: "Paleoceanography and heavy metal enrichment of mudstones in the Green Tuff region, northeastern Japan"Resource Geology. 53(1). 37-49 (2003)
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[Publications] Komuro, K.: "Heavy sulfur-isotope enrichment in middle Miocene Onnagawa mudstones in the Green Tuff region, northeastern Japan"Resource Geology. 53(1). 61-65 (2003)
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[Publications] Ishihara, S.: "Origin of sulfur in some magmatic hydrothermal ore deposits of south China"Bulletin of Geological Survey of Japan. 53(3/4). 157-165 (2003)
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[Publications] Eguchi, A.: "Sulfur content and isotopic ratio of modern coral skeletons from the Pacific coast of southwestern Shikoku, Japan"Annual Report, Institute of Geoscience, University of Tsukuba. 29. 27-29 (2003)
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[Publications] Kajiwara, Y.: "Isotopic compositions of trace sulfate and sulfiole in a lower Bashkirian coralline carbonate clast from Japan"Annual Report, Institute of Geoscience, University of Tsukuba. 29. 31-35 (2003)
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[Publications] Komuro, K.: "Trace fossils and sulfur isotopes in mudstones around the Kuroko deposits in the Hokuroku basin, northeast Japan"Resource Geology. (in press). (2004)