2001 Fiscal Year Annual Research Report
希ガス同位体比、Ar-Ar年代測定に基づく地殻・マントルでの物質循環・進化の研究
Project/Area Number |
12440145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授 (30011745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 弥生 東京大学, 地震研究所, 助手 (90282730)
瀧上 豊 関東学園大学, 法学部, 教授 (40206909)
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Keywords | 希ガス / 同位対比 / ハワイ島 / レユニオン島 / モーリシャス島 / 玄武岩 / ホット・スポット / プルーム |
Research Abstract |
今年度は、ハワイやレユニオンなどの海洋島に関する岩石試料についての希ガス同位体比測定などを行い、それぞれに特徴的な値およびそれらに関与している二次的な成分などの様相について新しい情報を得た。ハワイ島周辺の海底から潜水艇を用いて採取した試料に対しての希ガス同位体比の測定結果からは、深度5000m近くの海底から採取された急冷ガラスやカンラン石斑晶などでも、海水や地殻成分の影響が及んでいることが示唆された。このことは、特に高い3He/4He比を示しているロイヒ海山周辺でもその傾向が見られ、マグマが海洋底地殻などの影響を受けていることから、ほかの同位体比においてもある程度その影響が見られることを予測させている。一方、インド洋のホット・スポット火山であるレユニオン島においては、これまで報告されてきたのと同様に中央海嶺玄武岩の値よりやや高く、一様な3He/4He比を示すことが再確認された。しかしモーリシャス島では数百万年より古い玄武岩ではそれらの値がレユニオン島と同じような値であるのに対し、100万年より若い時期に噴出した玄武岩などの値は中央海嶺玄武岩の値に近づくことが示された。このことは、プルームが次第にリソスフェアなどの影響を受けた結果という推察される。またインド洋における希ガス同位体比がハワイ島などとはやや異なっていることは、その同位体比の分布がインド洋の各島においては類似した値を示すことから、下部マントルに起因する可能性のあることが示唆された。
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[Publications] I.Kaneoka, N.Takahashi, S.Arai: "40Ar-39Ar analysis of phlogopite in the Horoman Peridotite Complex, Hokkaido, Japan and implications ..."The Island Arc. 10. 22-32 (2001)
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[Publications] T.Hanyu, T.J.Dunai, G.R.Davies, I.Kaneoka, et al.: "Noble gas study of the Reunion hotspot : evidence for distinct less-degassed mantle sources"Earth and Planetary Science Letters. 193. 83-98 (2001)
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[Publications] I.Kaneoka, T.Hanyu, J.Yamamoto, Y.N.Miura: "Noble gas systematics of the Hawaiian volcanoes based on the analysis of Loihi, Kilauea and Koolau ..."The Evolution of Hawaiian Volcanoes, Recent Progress in Deep Underw ater Research. AGU Mono. 128. 373-389 (2002)
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[Publications] 兼岡一郎: "総括-地球科学の中のAMS"「AMSが拓く地球科学のフロンティア」プロシーディング. (印刷中). (2002)