2001 Fiscal Year Annual Research Report
同位体微小領域分析に基づく隕石中の包有物・コンドルールの成因に関する研究
Project/Area Number |
12440153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
比屋根 肇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70192292)
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Keywords | 二次イオン質量分析計 / 炭素質隕石 / 同位体異常 / 難揮発性包有物 / 希土類元素 / 微量元素 / エネルギーフィルター法 / フリーズソー |
Research Abstract |
鉱物中の希土類元素および各種微量元素の定量を正確におこなうため、すべての希土類元素に加え、ストロンチウム、バリウム、ハフニウム、バナジウム、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ等の微量元素を既知の量含んだ種々のガラス標準試料を作成した。これらの試料に対し、二次イオン質量分析計を用いて、エネルギーフィルター法による定量分析の基礎実験をおこなった。その結果、単原子イオン/酸化物イオンの生成比、カルシウムあるいはケイ素に対する各元素の二次イオンの相対感度比などに関する重要な基礎データが得られた。その成果を、日本質量分析学会同位体比部会、国立極地研究所におけるワークショップ等で発表した。現在、隕石中の難揮発性包有物に対して、希土類元素および微量元素の定量分析を試みつつある。現時点でのひとつの重要な成果は、包有物のリム(いわゆるワーク=ロベリング・リム)に希土類元素が濃集しているらしいことが分かってきたことである。これは、包有物の生成環境を知る上で重要な示唆を与える。本年度はまた、新たな試みとして、フリーズソー(凍結解凍を繰り返すことによる粉砕法)の技術を用いて、マーチソン(Murchison)、カインザツ(Kainsaz)等の炭素質隕石を微粒子へと粉砕し、重液を用いた遠心分離法により、ヒボナイトと呼ばれる高温鉱物を分離した。この鉱物はしばしばチタン、カルシウムなどの同位体異常を持っていることが知られており、原始太陽系最初期の同位体不均一の残っている時代の情報を持っている可能性がある。これらの試料に対して二次イオン質量分析計による多元素同位体分析をおこなうべく準備を進めている。
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