2002 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素中のクラスター負イオン構造とその反応
Project/Area Number |
12440160
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 敬 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10164211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 健吾 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40221080)
渡辺 一雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (90312206)
|
Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 局所クラスター構造 / 電子束縛状態 / 負イオン化学 / イオン移動度 |
Research Abstract |
超臨界二酸化炭素中の余剰電子の周囲に形成される局所的なクラスター構造(以下,{(CO_2)_n^-}_<scf>と表す)を移動度測定および分光測定によって検出し,その反応性を調べることによって,{(CO_2)_n^-}_<scf>を用いた負イオン化学を開拓することを目指して以下の研究を行った. 1.移動度測定による{(CO_2)_n^-}_<scf>の検出:不純物による{(CO_2)_n^-}_<scf>の消滅を抑えるために,二酸化炭素試料の純度を従来と比較して100倍以上に向上させ,飛行時間法を用いて{(CO_2)_n^-}_<scf>の移動度を測定した.臨界圧を含む広範囲の圧力領域で測定を行い,{(CO_2)_n^-}_<scf>の移動度が他の陰イオン類と比較して相対的に大きく,溶媒密度の増加と共に増加すること,溶媒の等温圧縮率が最大となる点で最小となることを見出した.この特異な挙動は,クラスター構造間での余剰電子のホッピングを介して電荷移動が起こることを示唆している. 2.ナノ秒時間分解吸収分光測定による{(CO_2)_n^-}_<scf>の検出:昨年度より製作していた超臨界二酸化炭素セルを装備したナノ秒時間分解過渡吸収分光装置を用いて,紫外可視領域で{(CO_2)_n^-}_<scf>の分光検出を試みた.しかし,{(CO_2)_n^-}_<scf>の生成効率が小さいこと,光イオン化による余剰電子源として添加した芳香族化合物類の吸収帯が測定領域と干渉していることなどから,未だ{(CO_2)_n^-}_<scf>の検出には成功していない. 3.(CO_2)_n^-の反応性に関する実験:{(CO_2)_n^-}_<scf>の反応性に関して相補的な情報を得るために,質量分析法を用いて気相(CO_2)_n^-の反応性を調べた.(CO_2)_n^-はCO_2^<・->ラジカル負イオンの合成等価体としての反応性を示し,共役系化合物,ハロゲン化アルキル類に対してラジカル付加的にカルボキシル化反応が進行することが明らかとなった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y.Negishi et al.: "Structural evolution in (CO_2)_n clusters (n<10^3) as studied by mass spectrometry"Chemical Physics Letters. 364. 127-132 (2002)
-
[Publications] R.A.Holroyd et al.: "Density inhomogeneities and electron mobility in supercritical xenon"Journal of Chemical Physics. 118. 706-710 (2003)
-
[Publications] R.A.Holroyd et al.: "Reactions of charged species supercritical xenon as studied by pulse radiolysis"Journal of Physical Chemistry. (印刷中). (2003)