2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440168
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
本間 健二 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (30150288)
|
Keywords | 遷移金属原子 / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究は、気相遷移金属原子の電子状態と反応性の関係を分子動力学として明らかにすることを目的として、実験的なアプローチを行う交差分子線装置を立ち上げ、単一衝突条件での反応観測を行うことを目指していた。本年度は、初年度に製作した交差分子線装置を用いて、(1)遷移金属原子源の調整と性格付け(2)遷移金属原子と簡単な分子との反応生成物の観測を行った。 (1)YAGレーザーの二倍波(532nm)によるレーザー蒸発法で気相金属原子を生成し、ノズルからのキャリヤーガスの超音速膨張で電子状態・並進状態を冷却した。レーザー誘起ケイ光法を用いて、電子状態分布および速度分布を測定しビームの性格付けを行った。チタン(Ti)原子の場合、速度分布は幅が10〜15%、電子状態分布としては基底状態(a^3F_2)に対して準安定励起状態(a^5F_1)が3〜10%という結果が得られた。キャリヤーガスによって多少変化し、N_2を混ぜると特に電子状態の冷却が進むことが明らかになった。 (2)交差分子線条件でTi+O_2→TiO^*+OならびにAl+O_2→AlO+O反応の観測を行った。前者はTiO^*の化学発光を分光器で分光し生成したA^3Φ状態の振動回転状態分布を決定した。分光器の分解能では個々の振動回転遷移を分離することはできないので、スペクトルのシミュレーションによって回転・振動状態分布を求めた。A状態のv=2までが生成し、v-0、1、2の分布は1:0.8:0.1と決定された。また、Al原子とO_2の反応は、AlOのレーザー誘起ケイ光を観測することからA10基底状態の振動回転状態分布を決定した。v=1までが生成するが回転状態分布はエネルギー分配が完全に統計的であると仮定した場合に比べ、回転エネルギーへ分配される割合が低いものとなった。
|
-
[Publications] Shozo Ideue: "Conformational change of electrosprayed cytochrome c Studied by laser-induced fluorescence"Chemical Physics Letters. 337. 79-84 (2001)
-
[Publications] Katsuhiro Tanaka: "Microscopic solvation of acetonitrile to 9, 9'-bianthryl studied in gas phasecluster : Polar excited state formation"The Journal of Physical Chemistry. 106(印刷中). (2002)
-
[Publications] Takahiro Fukuzumi: "State-selected ion-molecule reactions studied by the threshold electron-secondary ion coincidence (TESICO) technique, Ar^+(^2P_<3/2>,^2P_<1/2>)+HCl"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 75(印刷中). (2002)