2002 Fiscal Year Annual Research Report
2次元ラマン及び赤外分光法における振動モード結合の解析プログラムの開発
Project/Area Number |
12440171
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes, Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
谷村 吉隆 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (20270465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 剛 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (80271500)
鈴木 陽子 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70342631)
|
Keywords | 2次元分光 / 非線形分光 / フェムト秒分光 |
Research Abstract |
昨年、完全版ともいえる2次元ラマン分光の実験、分子動力学シミュレーションが成功し、2次元分光は新たな展開を迎えた。我々の研究目標は2次元分光のインフラとなる理論を開発することであるが、これら新しい実験やシミュレーションの結果は、我々がそれの結果が得られるより4年ほど前に発表した解析的な結果により説明されており、我々のアプローチの有用性を示すよい例になったと感じいる。本年度は、ガウスマルコフ的量子フォッカー・プランク方程式を用いて熱浴との非線形の相互作用が2次元分光に及ぼす効果の研究、経路積分を実行することにより回転系の2次元分光の厳密解を求め、その特徴について議論した。また、レッドフ理論を用いてトンネル過程が重要となるような化学反応系の2次元信号、モンテカルロ法を用いて極性ガラス系の2次元分光の信号を新たに計算し、このような系についても2次元分光法が有用なことを示した。 理論的な計算を行うにあたっては、ファインマンダイアグラムを用いるやり方や、アルブレヒトダイアグラムを用いるやり方が知られているが、この両者の関係についても検討を行った。また、2次元分光の理論的枠組みとして、座標系を用いるかエネルギー準位系を用いるかの2通りあるのだが、両者の関係について詳細な検討を加え、エネルギー準位表示を用いるマスター方程式のやり方では、緩和の入れ方を注意しないと、現実の信号と全く違う結果になることを示した。このことを特にレッドフィールド理論とブロッホ方程式の2つの方程式を用いて示した。 以上の結果は6報の投稿論文として纏められアクセプトされた。本研究のサイテーションの高さは目経産業新聞でも紹介されている。
|
-
[Publications] Y.Suzuki, Y.Tanimura: "Probing a colored-noise induced peak of a strongly damped Brownian system by one-and two-dimensional spectroscopy"Chem. phys. Lett. 115. 51-56 (2002)
-
[Publications] Y.Tanimura, V.B.P.Leite, J.N.Onuchic: "THE energy landscape for solvent dynamics in electron transfer reactions : a minimalist model"J. Chem. Phys.. 117. 2172-2179 (2002)
-
[Publications] Y.Suzuk, Y.Tanimura: "Two-time correlation function of a two-dimensional quantal rotator in a colored noise"J. Phys. Soc. Jpn. 71. 2414-2426 (2002)
-
[Publications] S.-D.Du, Y.Tanimura: "On single-mode Λ-and V-type micromasers : quantum interference versus photon statistics"J. Opt. B. 4. 402-410 (2002)
-
[Publications] T.Kato, Y.Tanimura: "Vibrational spectroscopy of a harmonic oscillator system nonlinearly coupled to a heat bath"J. Chem. Phys.. 117. 6221-6234 (2002)
-
[Publications] K.Okumura, Y.Tanimura: "Energy-level diagrams and their contribution to fifth-order Raman and second-order infrared responses : distinction between relaxation models by 2D spectroscopy"J. Phys. Chem. B accepted.
-
[Publications] 谷村吉隆: "化学物理入門 : 経路積分法と非平衡統計力学"サイエンス社. 195 (2002)