2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属-炭素多重結合を有する遷移金属錯体を利用する新規合成反応の開発
Project/Area Number |
12440176
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | ビニリデン錯体 / タングステンカルボニル / シリルエノールエーテル / 環化反応 / 多環性化合物 |
Research Abstract |
本研究では、従来有機合成反応、特に炭素骨格形成にほとんど利用されたことのないピニリデン錯体、カルビン錯体、ニトリド錯体等、金属炭素あるいは金属-ヘテロ原子多重結合を有する錯体に着目し、これら遷移金属化合物の持つ多様でかつユニークな性質を利用し、新しい形式の有用な炭素骨格構築反応を開発することを目的に研究を行った。 すでに我々は、分子内に末端アセチレン部位を有するシリルエノールエーテルに対し、タングステンカルボニル錯体を水存在下作用させると、タングステン錯体がアセチレン部位を求電子的に活性化することによりシリルエノールエーテルの分子内求核付加が進行し、二環性のケトンが得られることを見出している。この反応では適切な溶媒を選ぶことにより、エキソ、エンド両環化体を作り分けることができる。ここで水の代わりにアミン存在下で反応を行えば、環化によって生じる双性イオン中間体のシリルオキソニウム部位から脱プロトンが進行し、生成物がシリルエノールエーテルとして得られると考え、検討を行った。 その結果触媒量のW(CO)_6存在下、THF中ジアザビシクロオクタンを用いるとエキソ環化体が、またトルエン中トリブチルアミンを用いるとエンド環化体がそれぞれシリルエノールエーテルとして選択性よく得られることを見いだした。さらに分子内にアルキン部位を二つ有するシリルエノールエーテルに対し、W(CO)_6及びジアザビシクロオクタン存在下、光照射を行うと、連続的に環化した三環性化合物が好収率で得られることを見いだした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Iwasawa, M.Saitou, H.Kusama: "Reactions of Silyl-substituted Fischer-type Carbene Complexes with Silanes"Journal of Organometallic Chemistry. 617-618. 741-743 (2001)
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[Publications] N.Iwasawa, M.Shido, H.kusama: "Generation and Reaction of Metal-Containing Carbaryl Ylides; Tandom(3+2)-Cycloaddition-Carbene Insertion Leading to..."Journal of the American Chemical Society. 123. 5814-5815 (2001)
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[Publications] N.Iwasawa, K.Maeyama, H.Kusama: "A Novel Annulation onto α, β Unsaturated Ketones : W(CO)_5L Promoted Exo and Eudo-Selective Cyclizations of ω-Acetylenic"Organic Letters. 3. 3871-3873 (2001)
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[Publications] T.Miura, N.Iwasawa: "Reactions of Iodenated Vinylidene Complexs Generated from 1-Iodo-ralkynes and W(CO)_5(tdt)"Journal of the American Chemical Society. 124. 518-519 (2002)
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[Publications] H.Kusama, Y.Shiozawa, M.Shudo, N.Iwasawa: "Tandem Cyclizations of Benzopyranylidenetungsten(0) Complexes with Electron-Rich Dienes for the Stereoselective"Chemistry Letters. 124-125 (2002)