2000 Fiscal Year Annual Research Report
極性結合へのラジカル環化・含窒素複素環合成の新手法
Project/Area Number |
12440177
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (80210821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 浩 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20239073)
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Keywords | 極性ラジカル環化 / 含窒素複素環 / アシルラジカル / ラクタム環 / スタニルカルボニル化 / 一酸化炭素 / イミン結合 / スタニルメチレン基 |
Research Abstract |
アシルラジカル種のイミンC=N結合への環化反応を詳細に検討した結果、ラクタム環構築法として極めて有用であり、本初年度において顕著な成果を達成することができた。以下に研究実績を列挙する。 (1)各種アザエンインをラジカル反応条件下に一酸化炭素-トリブチルスズヒドリドと反応させたところα-位にスタニルメチレン基を有するラクタム環の簡便構築に成功した。 (2)上記ラクタム環構築は4員環ラクタムから8員環ラクタムまで収率良く進行した。このことから、これまでに類例を見ない汎用性かつ一般性を持つラジカル環化反応であることがわかった。 (3)環化の位置選択性の制御はエキソ型で完璧であり、エンド型の環化体の生成は見られなかった。 (4)生成ラクタムのビニル-スズ結合はパラジウム触媒存在下に芳香族ヨージドとのスチレカップリング反応によりビニル-炭素結合へ良好な収率で変換された。 (5)アシルラジカルの発生過程はin situに生成させたビニルラジカルのカルボニル化を活用しており、新しいカルボニル化による含窒素複素環構築の方法論の開発に成功したものといえる。 (6)環化の反応機構の解明にab initio法による理論計算を開始した。これまで鍵活性種の構造最適化を終了し、次年度における遷移状態の最適化への準備を整えた。また、これと関連してラジカル種の理論計算の第一人者であるメルボルン大学のC.Schiesser教授のもとに出向き、本研究の進展に資する有意義なディスカッションを行った。
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Radical Carboxylations of Iodoalkanes and Saturated Alcohols Using Carbon Monoxide"Chemical Society Review. 30. 16-25 (2001)
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Chelation-Aided Generation of Ketone α, β- Dianions and Their Use as Copper Ate Complexes. Unprecedented Enolate Intervention in the Conjugaate Addition to Enones"Journal of the American Chemical Society. 122・6. 1219-1220 (2000)
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Isomerization of Oxygen-substituted Cyclopropanes by Metal Catalysis"J.Synth.Org.Chem.,Jpn.. 58・11. 76-83 (2000)
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Conjugate addition of zincates derived from ketone α, β-dianions to enones. An access to Unsymmetrical 1,6-diketones"Tetrahedron Letters. 41. 5689-5692 (2000)
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Lactone Synthesis Based on Atom Transfer Carbonylation"Organic Letters. 2・3. 389-391 (2000)