2002 Fiscal Year Annual Research Report
極性結合へのラジカル環化、含窒素複素環合成の新手法
Project/Area Number |
12440177
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (80210821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 浩 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (20239073)
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Keywords | 極性支配型 / 一酸化炭素 / α,β-不飽和アシルラジカル / 含窒素複素環 / チオカルボニル化 / スタニルカルボニル化 / ラクタム |
Research Abstract |
本研究ではアシルラジカル種のイミン結合への環化が極性支配型であることを利用し、ラクタム環を中心とする新しい含窒素複素環合成法として確立することを目的としているが、最終年度に当たる平成14年度においては以下に示す成果を得た。 アシルラジカルの分子内イミン結合に対する環化の遷移状態をAb initio MOおよびDFT法による計算により求めることに成功した。その結果、イミン窒素上の非共有電子対とアシルラジカルのカルボニル炭素とのイオン的相互作用を反映した遷移状態が示された。この遷移状態はイミン窒素とアルデヒドとの相互作用に類似した遷移状態であり、アシルラジカルによる対応する炭素-炭素二重結合への環化の遷移状態とは類似性を持たないことを明らかとした。このことは本研究において作業仮説としてきた極性型環化を計算化学的検討からして強く支持するものといえる。 さらに本極性支配型のラジカル環化反応の展開を試みた。アシルラジカルを受容する可能性のある極性結合としてイソシアナートとの5員環環化反応を検討した。その結果、この反応系でも環化が生起し、5員環ラクタムの生成が起こることを見いだした。また、末端にイミノ基を有するアセチレンに対しラジカル開始剤の存在下にチオール、一酸化炭素との反応を試みた。その結果、期待通りα-位にチオメチレン基を有するラクタムが得られた。この反応では5員環から7員環までのラクタム環を合成可能であった。また、固相担持のスズヒドリドやフルオラスタグを持つスズヒドリドについてもアザエンイン類のスタニルカルボニル化が良好に進行した。
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[Publications] Ilhyong Ryu: "5-Azahexenoyl radicals cyclize via nucleophilic addition to the acyl carbon rather than 5-exo homolytic addition at the imine"Chem. Commun.. 20. 2338-2339 (2002)
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[Publications] Ilhyong Ryu: "Broad-Spectrum Radical Cyclizations Boosted by Polarity Matching. Carbonylative Access to α-Stannylmethylene Lactams from Azaenynes and CO"J. Am. Chem. Soc.. (in press).