2000 Fiscal Year Annual Research Report
巨大な非線形光学効果を有する擬一次元金属錯体の創製
Project/Area Number |
12440187
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山下 正廣 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60167707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 知彦 東京都立大学・理学研究科 (90285718)
松坂 裕之 東京都立大学・理学研究科 (50221586)
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Keywords | 非線形光学効果 / 一次元金属錯体 / 強相関電子系 / 電場変調スペクトル |
Research Abstract |
これまで非線形光学効果に関して「量子細線」として研究されてきた化合物群には、パイエルス絶縁体やバンド絶縁体がある。パイエルス絶縁体の代表的なものとしてはポリジアセチレンやポリアセチレンやハロゲン架橋白金混合原子価錯体などがあり、χ^<(3)>は10^<-8>〜10^<-10>e.s.u.である。バンド絶縁体の代表的なものとしてはポリシランがあり、χ^<(3)>は〜10^<-10>e.s.u.である。一方、もう一つの量子細線であるモット絶縁体に対する非線形光学効果に対する研究は皆無であった。我々が永年研究をしている擬一次元鎖ハロゲン架橋金属錯体は金属イオンがPtやPdの場合、電子格子相互作用が強いためにパイエルス転移を起こし、通常のパイエルス絶縁体になるが、Niの場合は電子相関が強いためにモット絶縁体になっている。この化合物の組成式は[Ni(chxn)_2Br]Br_2で表され、各Ni^<III>上に不対電子が反強磁性的に並んでおりJ値は-3600kに達する。この化合物は1.3eV付近に一次元方向に架橋BrからNiのupper-Hubbard bandへの大きな振動子強度を持つ電荷移動吸収帯がある。そのため大きなχ^<(3)>が期待される。実際に電場変調法によりχ^<(3)>を求めてみると〜10^<-4>e.s.u.にも達した。これは従来の1万倍以上の大きさである。このように大きなχ^<(3)>を持ったのはこの化合物が「量子細線」であり、強相関電子系でありかつ1光子禁制遷移双極子モーメントが非常に大きいためである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kishida, et al: "Gigantic Optical Nonlinearlity in One-Dimensional Mott-Hubbard Insulators"Nature. 405. 929-932 (2000)
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[Publications] T.Ishii, et al.: "Haldane Gap System : Electronic structure and Magnetic Properties"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 342. 309-318 (2000)
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[Publications] M.Yamashita, et al.: "Haldane Gap Systems"Coord,Chem.Rev.. 198. 347-366 (2000)
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[Publications] Y.Koike, et al.: "Neutron Scattering Studies in Haldane Materials, NDMAZ and NDMAP"J.Phys.Soc.Jpn.. 69. 4034-4042 (2000)
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[Publications] H.Okamoto, et al. : "Photoexcitation in the strongly correlated ID electron System of halogen-bridged Ni compounds"J.Luminescence. 87-89. 204-206 (2000)
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[Publications] M.Mito, et al.: "Pressure Effect of an S=1 Haldane Compounds NDMAZ"J.Phys.Soc.Jpn.. 69. 1498-1502 (2000)