2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルミノリン酸塩結晶細孔中の一次元分子鎖の構造と物性
Project/Area Number |
12440192
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 龍一 筑波大学, 化学系, 教授 (90022631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 臣一 筑波大学, 化学系, 講師
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Keywords | アルミノリン酸塩 / マイクロポーラス系 / 一次元分子鎖 / 分子運動 / 固体NMR |
Research Abstract |
本年度、まず一次元細孔を持つマイクロポーラス結晶AlPO_4-5,SAPO-5を水熱合成法により作製し、良質結晶を得る方法の開発を行った。細孔中分子の挙動を調べる目的で、得られた結晶中にテンプレートとして入っているトリエチルアミン分子について、^1H NMRの共鳴線の2次モーメントとスピン格子緩和時間の温度依存性を測定した。その結果、細孔中に吸着されたトリエチルアミン分子の束縛は非常に小さく、AlPO_4-5においては、200K付近からすでに分子が等方的に回転しており、バルクの状態ときわめて異なる一次元分子系が形成されていることが明らかになった。一方、SAPO-5においては、細孔中のトリエチルアミン分子の運動はAlPO_4-5中に比べて束縛は強く、室温付近においても、等方的回転が励起されておらず、一軸周りの回転と回転軸の揺らぎが起こっていることがNMRの測定から明らかになった。さらに、^1H NMR緩和時間の温度依存性の測定によって、分子回転の速さの逆数で定義される相関時間が、SAPO-5中では分布しないが、AlPO_4-5中では大きな分布を示すことが明らかになった。この違いの解釈として、SAPO-5の細孔内壁にはブルンステッド酸点(OH基)が存在しており、この酸点とアミンが水素結合を形成していることが予想される。そのため、分子軸がほぼ細孔軸と垂直に配向している。一方、AlPO_4-5中では、分子は均一な細孔壁に囲まれているため、分子の配向は無秩序になり、分子回転の障壁の高さに分布がることを考慮することによって、AlPO_4-5とSAPO-5中の分子運動の違いを説明することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Gotoh: "Dynamic Behaviour of Trimethylamine Molecules Adsorbed in Aluminophosphate (AlPO_4-5) and Silicoaluminophosphate (SAPO-5),"Phys.Chem.Chem.Phys.. 2. 1865-1869 (2000)
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[Publications] S.Ishimaru: "Adsorption and Electronic Properties in Tetramethylbenzidine-Intercalated Tetrasilicicfluormica"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 341. 309-314 (2000)
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[Publications] M.Yamauchi: "Dynamics of n-Octylammonium Ions Intercalated in Saponite"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 341. 315-320 (2000)
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[Publications] K.Kuchitsu: "Ionic Plastic Phases in Trimethylammonium Trifluoroacetate Studied by ^1H and ^<19>F NMR Spectroscopy,X-Ray Diffraction and Thermal Measurements"Chem.Phys.Phys.Chem.. 2. 3883-3885 (2000)
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[Publications] T.Nihei: "Hydrogen Transfer in Hydrogen-Bonded Chloranilic Acid Studied by ^<35>Cl NOR-A 1:2 Complex with 1,4-Diazine-"Chem.Phys.Lett.. 329. 7-14 (2000)
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[Publications] T.Nihei: "Hydrogen Transfer in a Hydrogen-Bonded 1:2 Complex of Chloranillic Acid with 1.2-Diazine Studied by ^<35>Cl NOR"Chem.Lett.. 2000. 1346-1347 (2000)