2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 利彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20200917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 健太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80313196)
近藤 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (80302800)
太田 俊明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011675)
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Keywords | 分散型XAFS / 時間分解 / 分子吸着 / 表面反応 |
Research Abstract |
本課題はこれまで世界的に例のない軟X線領域の分散型表面XAFSの開発を行い、表面反応過程をリアルタイムで追跡することを目的としている。本年度は2年目であり、前年度に高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光研究施設内の東京大学スペクトル化学研究センター所有の軟X線ビームラインBL-7Aに立ち上げた分散型XAFS測定システムをさらに改良し、表面化学反応への応用研究を行った。測定システムの改良点は、縦方向の光の広がりを円筒ミラーで集光して信号強度を上げ、電子エネルギー分析器の電子レンズの結像能力を強化することによって分解能を向上させたことである。本手法を用いて調べた表面反応はPt(111)面上のCO酸化反応と水素酸化(水生成)反応である。どちらも基本的な触媒反応であり、古くから数多くの研究が行われているが、反応進行中の表面を原子レベルで調べた例は最近のSTMによる研究しかない。STMの観察結果は明確な反応機構を導き出しているが、表面のすべての化学種を捉えている保証がないことや、局所的に観察している場が反応全体を代表していない可能性があることが欠点である。本手法によってSTMと同程度の時間分解能で表面を分光学的に調べた結果、CO酸化反応ではSTMで捉えることができなかった初期反応プロセスがあることを見いだし、反応速度の定量解析により、反応次数の異なる二つの反応プロセスがシーケンシャルに進むことを明らかにした。また、水生成反応では、これまで挙動が謎であった反応中間体の表面OH種を捉えることに成功し、その振舞を明らかにすることができた。以上のように、本課題で開発した分散型表面XAFSは、今後、動的な表面プロセスの研究に威力を発揮しうる手法として確立することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Amemiya, H.Kondoh, A.Nambu, M.Iwasaki, I.Nakai, T.Yokoyama, T.Ohta: "Energy dispersive near edge x-ray absorption fine structure in the soft x-ray region : a new technique to investigate surface reactions"Jpn. J. Appl. Phys.. 40. L718-L720 (2001)
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[Publications] K.Amemiya, H.Kondoh, T.Yokoyama, T.Ohta: "Performance of the soft x-ray beamline for surface chemistry in the Photon Factory"J. Electron Spectrosc. Relat. Phenom.. (印刷中). (2002)