2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440201
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
森重 國光 岡山理科大学, 理学部, 教授 (30113195)
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Keywords | 毛管凝縮 / 吸着ヒステリシス / 多孔体 |
Research Abstract |
界面科学上の課題のひとつとなっている毛管凝縮および吸着ヒステリシスの全容の解明を目指して、インクボトル型細孔をもつSBA-16規則性多孔体への窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素の吸着・脱離等温線を広い温度領域で測定した。SBA-16は直径9.2nmの球状細孔が直径2.3nmの狭い窓を通して体心立方配列した細孔構造をもつ。いずれの気体の吸着等温線も低温でIUPAC分類のH2型ヒステリシスを示した。温度の上昇とともにヒステリシスは縮小して、バルクよりかなり低い温度で消失した。毛管凝縮および蒸発圧を相対圧で表して、換算温度T/Tcに対してプロットすると、4種類の気体のデータはほぼひとつの曲線に乗ることがわかった。球状細孔内での気体の吸着および脱離過程を球状細孔に束縛された液滴内での気泡の消滅および形成と捉えて、自由エネルギーの変化を計算した。その結果、細孔の内壁を漏らす吸着膜と毛管凝縮液体との間にエネルギー障壁が存在することがわかった。核形成理論により、凝縮圧と蒸発圧を温度の関数として計算することができた。この現象論的理論から求めた相転移圧は測定データをよく再現した。したがって、インクボトル型細孔内での吸着ヒステリシスの原因は、気体と共存する吸着膜の状態(気体)と凝縮液体状態との間の自由エネルギー障壁が存在することにある。したがって、吸着ヒステリシスが消失するヒステリシス温度は細孔臨界性とは直接的な関係をもたないことが分かった。次に、シリンダー状細孔内における吸着ヒステリシスの原因を解明するために、独立したシリンダー状細孔をもつMCM-41に対する窒素と二酸化炭素の吸着等温線を測定した。インクボトル型細孔に対する結果と違って、吸着ヒステリシスの温度依存性は両者で異なった。このことは、ヒステリシスの機構が細孔形状によって異なることを示している。
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Research Products
(1 results)