2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳内の生理活性物質を対象とするキャピラリー電気化学センサーの創案
Project/Area Number |
12440210
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菅原 正雄 日本大学, 文理学部, 教授 (50002176)
|
Keywords | ガラスキャピラリー / 超微小電極 / アラキドン酸 / L-グルタミン酸 / 神経伝達物質 / マウス脳海馬 / 生体膜センサー |
Research Abstract |
1.逆行性神経伝達物質アラキドン酸の電気化学検出 アラキドン酸(AA)は逆行性神経伝達物質の候補の一つであるが、神経伝達の中で果たす役割は未解明である。AAは電気不活性なためこれまで電気分析法の対象をされてこなかった.我々は、アラキドン酸が脂質二分子膜及び生体膜と相互作用してチャンネル的な膜透過性の変化を引き起こすことを見出した。脳海馬スライスを用いて、生体膜での膜透過性の変化をセンサーの応答として引き出すことによりグルタミン酸刺激によるアラキドン酸の放出及びその濃度(nMレベル)をin situに検出できた(投稿中)。 2.グルタミン酸レセプター分子種の電気化学的識別 噛乳類大脳の神経シナプス後膜に存在するグルタミン酸レセプター(GluR)イオンチャンネルは記憶、学習などの神経情報伝達において最も重要な膜蛋白である.マウス脳より取り出した海馬スライスを用いて一個のnative NMDAレセプター含む生体膜シングルチャンネルセンサーをその場で作成した.シングルチャンネルを透過するイオン量およびAAの効果に基づいて4種のNMDAレセプター分子種を識別できた.これは,生体膜を用いるセンサーを開発する上で感応素子としてのGluRの特性を示したことになる(投稿中). 3.超微小キャピラリー電極による海馬スライスでのL-グルタミン酸放出の検出 神経伝達物質L-グルタミン酸の局所濃度を知ることは,神経伝達の分子機構を知る上で必須のことである.ガラスキャピラリーを用いるこの電極は毛管現象によって細胞外液をサンプリングし電極内部での酵素反応によってL-グルタミン酸を検出する.本電極を用いてマウス海馬の領野(CA1,CA3,DG)ごとにグルタミン酸濃度を評価することに成功し,領野によって放出量が異なることを示した(投稿中)。
|
-
[Publications] M.Sugawara: "Design and Application of Ion-Channel Sensors Based on Biological and Artificial Receptors"Bull.Chem.Soc.Jp. 75. 187-201 (2002)
-
[Publications] N.Shimokawa: "An Ion-Channel Sensor for Abasic Sites in DNA"Anal.Sci.. (in press). (2002)