2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物環境応答機構におけるcAMP信号伝達系の分子生理学
Project/Area Number |
12440223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 正之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80013580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関本 弘之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20281652)
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Keywords | ラン藻 / 乾燥ストレス / 遠赤色光 / Anabaen / マイクロアレイ / トレハロース / 浸透圧ストレス / 塩ストレス |
Research Abstract |
ラン藻Anabaenaを実験生物として、乾燥ストレスおよび遠赤色光の受容体および信号伝達系の解析を、マイクロアレイ解析を中心に行った。 乾燥ストレス実験においては、Anabaena細胞を濾紙上の乗せ、一定時間置きに細胞からRNAを抽出してマイクロアレイ解析を行った。その結果、乾燥10分後にはトレハロース代謝系の遺伝子の発現が促進された。その後この遺伝子の発現は抑制され、代わって蔗糖代謝の遺伝子の発現が上昇した。乾燥ストレスは浸透圧ストレスと塩ストレスなどの複合ストレスと考えられ、糖代謝系遺伝子の発現の上昇は、浸透圧ストレスに対する細胞の防御的応答であると結論した。乾燥ストレスは光合成系関連遺伝子の発現を抑制した。この事実は細胞が水およびエネルギー要求性の代謝反応を止めることによって乾燥から身を守ることを示している。光の信号伝達に関しては、遠赤色光照射による細胞内cAMPレベルの変化に着目して研究を進めた。まず光信号伝達に関係する遺伝子破壊株を作製し、遠赤色光応答性を失った突然変異株の解析から、遠赤色光受容タンパク質の候補として、aphC遺伝子を選定した。AphCタンパク質は、各種の信号受容タンパク質に含まれるGAF領域を持ち、かつヒスチジンキナーゼ活性を示した。このタンパク質はこれまで知られていないフィトクロームの一種であると結論した。単細胞性ラン藻のSynechocystisにおいて転写因子sycrp1遺伝子破壊株の解析から、この転写因子は複数の未知遺伝子の発現を制御しており、これらの遺伝子は細胞の運動に関わっていることが明らかとなった。その他、これまでに得られたマイクロアレイの実験結果を統合的に解析するためのソフトウェアを開発し、発現パターンと遺伝子産物の立体構造の視覚化を可能にした。
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[Publications] T.Tada: "Molecular dissection of the hydrophobic segments H3 and H4 of the yeast Ca^<2+> channel component Mid1"J. Biol. Chem.. (in press). (2003)
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[Publications] R.Nishimura: "HAR1 mediates systemic regulation of symbiotic organ development"Nature. 420. 426-429 (2002)
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[Publications] S.Okamoto: "The Cyanobacterila PilT Protein Responsible for Cell Motility and Transformation Hydrolyzes ATP"Plant Cell Physiol.. 43. 1127-1136 (2002)
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[Publications] Ohmori, K: "cAMP Stimulates Na^+-dependent ATP Formation in the Alkalophylic Cyanobacterium Spirulina platensis"Microbes and Environments. 17. 144-147 (2002)
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[Publications] Ohmori, M: "Regulation of cAMP-mediated Photosignaling by a Phytochrome in the Cyanobacterium Anabaena cylindrica"Photochemistry and Photobiology. 75. 675-679 (2002)
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[Publications] R.Nishimura: "The Novel Symbiotic Phenotype of Enhanced-Nodulating Mutant of Lotus japonicus : astray Mutant is an Early Nodulating Mutant with Wider Nodulation Zone"Plant Cell Physiol. 43. 853-859 (2002)