2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞におけるNa^+利用機構とNa^+環境認識機構の解析
Project/Area Number |
12440225
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
三村 徹郎 奈良女子大学, 理学部, 教授 (20174120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 喜之 農林水産省, 農業生物資源研究所, 室長
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Keywords | 細胞膜 / 液胞膜 / マングローブ / 耐塩性 / プロトンATPアーゼ / Na^+ / H^+アンチポーダー / 無機イオン代謝 / Na^+環境認識 |
Research Abstract |
地球上に普遍的かつ多量に存在するNa^+はその必要性が動物と植物で大きく異なっている。これまで、Na^+の必須性が明らかでないことから、植物細胞におけるNa^+の働きや、Na^+環境の認識/維持機構についての研究はほとんど存在しない。多くの植物では、過剰のNa^+の存在が、塩害として成長に阻害的に働くことが強調されてきた。本研究では、これまでの実験事実を基に、植物細胞がNa^+を必要とするのはどのような条件か、Na^+を必要とするのはどのような機構か、Na^+環境の認識はどのように行われているか、Na^+濃度の調節はどのように行われているかを、生体膜輸送機構を中心に、細胞・分子レベルで明らかにすることを目指している。 本年度は、主にマングローブ培養細胞を材料に、外界Na^+濃度の違いに反応する、細胞膜と液胞膜輸送系の活性変動と分子構造の検討を行った。細胞膜、液胞膜のいずれにおいても、Na^+の輸送には、H^<+->ポンプとそれによって形成されたH^+の電気化学ポテンシャル勾配を利用して駆動されるNa^+/H^+アンチポーターが働いていることが明らかとなった。いずれの輸送系も外部Na^+濃度の上昇に伴い活性化されるが、その活性化の時間経過が細胞膜、液胞膜で異なることから、細胞におけるNa^+認識機構とその後の情報伝達系が複数存在することが示唆された。また、細胞膜・液胞膜いずれのNa^+/H^+アンチポーターも遺伝子レベルで解析をすすめることができるようになっている。 さらに、このようなNa^+外部環境の認識が、実際の生育環境でどのように機能しているかを検討し、組織毎にことなる反応系が誘導されること、およびその誘導系解析に我々の培養細胞が利用できることが明らかとなった。 本研究で明らかになったNa^+輸送系の活性調節と分子構造については、成果の公表を見合わせる(理由書参照)。
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[Publications] Reid R.J.: "Phosphate transport in Chara : membrane transport via Na/Pi cotransport."Plant Cell & Environment. 23. 223-228 (2000)
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[Publications] Massonneau A: "Phosphate uptake across the tonoplast of intact vacuoles isolated from suspension-cultured cells of Catharanthus roseus."Planta. 211. 390-395 (2000)
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[Publications] Mimura T.: "Regulation of cytoplasmic pH under extreme add treatment in suspension cultured cells of Catharanthus roseus : A possible role of inorganic phosphate"Plant & Cell Physiology. 41. 424-431 (2000)
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[Publications] Mimura T.: "The Encyclopedia of Cell Technology, Physiology of plant cells in culture."John Wiley & Sons, Inc.. 979-987 (2000)