2002 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻遊泳細胞をモデルとした鞭毛並びにセントリオール構成タンパク質の解析
Project/Area Number |
12440232
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本村 泰三 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 明男 神戸大学, 内海域機能教育研究センター, 助教授 (50304134)
川井 浩史 神戸大学, 内海域機能教育研究センター, 教授 (30161269)
市村 輝宣 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00090481)
加藤 敦之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90177428)
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Keywords | 黄金色藻 / オクロモナス / 細胞周期 / セントリオール / 不等毛藻類 / 鞭毛 / 紡錘体 / リゾプラスト |
Research Abstract |
今年度は不等毛藻類の中の、特に黄金色藻オクロモナスを材料に鞭毛基部としてのセントリオールの複製、2本の鞭毛の娘細胞への分配機構について調べた。オクロモナスは22℃の温度条件下でグルコースやイーストエキストラクトを含む培地で培養すると細胞周期の時間は約8時間となる。逆に有機物を含まない無機培地で培養すると細胞分裂は阻害されるため、無機培地から有機培地に移すことにより、細胞周期をある程度同調化することが可能となった。すなわち、培地の交換によりG1期の細胞はすみやかにDNA合成を開始し、約8時間後に核分裂期に入る。鞭毛基部としてのセントリオールの複製はS期に入ってすぐに開始され、1時間後にはほぼ完成する。核分裂が開始する直前に鞭毛複製が行われる。長短2本の鞭毛軸糸は短くなり、同時に2本の新しい鞭毛が新生する。この新しい鞭毛は娘細胞においては長鞭毛となり、親細胞の長短2本の鞭毛は姫細胞においては短鞭毛となる。すなわち、オクロモナスにおいてはセントリオールの複製と鞭毛の複製は完全に細胞周期のチェックポイント、すなわちG1からS期、G2期からM期に連関していることが明らかになった。このことは、真核細胞、特に動物細胞において、セントロゾームが細胞周期においてただ1回半保存的に複製し、それが紡錘体極として機能するという機構解明にもつながるものと考えられる。次に、オクロモナスの核分裂について抗チューブリン抗体、抗セントリン抗体、抗γ-チューブリン抗体を用いて調べた。その結果、セントリン分子は常にセントリオールに局在するのに対し、γ-チューブリン分子は、セントリオールから核に伸び紡錘体極となるリゾプラストに局在することが明らかになった。今回の結果は不等毛藻類におけるリゾプラスト構成タンパク質が緑藻類とは大きく異なる可能性を示している。
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[Publications] Nagasato, C., Motomura, T.: "Ultrastructural study on mitosis and cytokinesis in Scytosiphon lomentaria zygotes (Scytosiphonales, Phaeophyceae) by freeze-substitution"Protoplasma. 219. 140-149 (2002)
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[Publications] Yoshikawa, S. et al.: "Nuclear histone proteins of gametes in an oogamous and two isogamous brown algae"Journal of Phycology. 38. 318-324 (2002)
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[Publications] Nagasato, C., Motomura, T.: "New pyrenoid formation in the brown alga, Scytosiphon lomentaria (Scytosiphonales, Phaeophyceae)"Journal of Phycology. 38. 800-806 (2002)
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[Publications] Nagasato, C., Motomura, T.: "Influence of the centrosome in cytokinesis of brown algae : polyspermic zygotes of Scytosiphon lomentaria (Scytosiphonales, Phaeophyceae)"Journal of Cell Science. 115. 2541-2548 (2002)
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[Publications] Sang-Hee Lee et al.: "Light and electron microscopic observations of preferential destruction of chloroplast and mitochondrial DNA at early male gametogenesis of the anisogamous green alga Derbesia Tenuissima (Chlorophyta)"Journal of Phycology. 38. 534-542 (2002)
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[Publications] Yotsukura, N. et al.: "Tandem 5S RNA genes and the spacer region sequences of three Japanese Laminaria species"Journal of Applied Phycology. 14. 233-239 (2002)